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科学な本のご紹介:  【遺伝子差別】ジェームズ・ワトソン【人種問題】

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【「ノーベル賞学者の人種差別」騒ぎについて】
ジェームズ”二重らせん”ワトソン殿のご乱行は、今に始まったことではない。




以下は2007年に記した旧ブログ記事の復刻増補です。
 元DATE: 10/21/2007 16:43:25




「ノーベル賞学者の人種差別」騒ぎについて。
2007/10 cnn.co.jp
 英博物館、DNA構造解明ワトソン博士の講演中止 差別発言で
2007/10 ワイアードビジョン DNAらせん構造の著名生物学者、「黒人は遺伝子的に劣る」と発言
2007/10 cnn.co.jp ノーベル賞のワトソン博士、黒人差別発言を謝罪
2007/10 cnn.co.jp 所属先の米研究所の職務停止、人種差別的発言の著名博士

 まー、その。
 ジェームズ”二重らせん”ワトソン殿のご乱行は、今に始まったことではないわけで。

 うちが集積している記事は2000年以降になりますが、これ以前の前世紀から、ずっとこう、この先生はあいかわらずだったと思われるのであって。
 ┐(´д`)┌

 2000〜2003年 

 まず2000年から2003年。
 あ。2000年当時の見出しが、今回の騒ぎとほとんど同じでないかい。
人種差別!性差別!  「二重らせん」ジェームズ・ワトソンの講演内容に抗議殺到
2000/11 SAN FRANCISCO CHRONICLE Nobel Winner's Theories Raise Uproar in Berkeley
 Geneticist's views strike many as racist, sexist
わからないでもないというご意見も
2000/12 SAN FRANCISCO CHRONICLE Readers Defend Nobel Laureate's Opinions
 James Watson's ideas on obesity, race, sex strikes chord with many
肌の色で性欲が変わる?
2000/12 THE SUNDAY TIMES DNA pioneer hit by race-sex row

2001/02 WIRED All the World's a Stage of DNA
ジェームズ・ワトソン「倫理的な問題より、研究がもたらす治療や利益のほうが大事だろう!」
  マット・リドレー対ジェームズ・ワトソン  30000のゲノムが示すもの

2001/03 Guardian Passion for science that lies in the genes
ジェームズ・ワトソン
 遺伝子差別より、遺伝子関連技術を拒否するほうが問題だと考える男

ジェームズ・ワトソン、悪い遺伝子撲滅を唱える
 ヒト胎児改良が未来を開くんだ  どうしてデザイナーベビーが悪いのか
 杞憂を恐れず蒙昧にとらわれず遺伝病撲滅を推進せよ
2001/04 THE INDEPENDENT  Let us rid society of genetic defects, says DNA pioneer
2001/04 THE INDEPENDENT  James Watson: Fixing the human embryo is the next step for science
 'One should never put off doing something useful for fear of evil that may never arrive'
2001/04 THE INDEPENDENT Genetic research to eliminate disease should not be prevented by fear
2001/04 時事通信 『ヒトから「悪い遺伝子」の除去を  ノーベル賞学者ジェームズ・ワトソン、英紙で訴え』

ワトソンくん、事件の手がかりは遺伝子にあると思うかね?
 心理学、神経科学、認知科学と遺伝子科学
 ”認知遺伝学”とウィリアムズ症候群やダウン症
2001/11 Guardian Elementary, my dear Watson, the clue is in the genes - or is it?

「カワイイ赤ちゃんやパーフェクトな人間をこしらえて何が悪い?」
 ジェームズ「二重らせん」ワトソン、ゲノム研究について語る
2002/10 Globe and Mail  Gene pioneer urges dream of human perfection

ワトソン”二重らせん”先生といえばこれですね
 「頭が悪いやつは脳はビョーキなんだから治療すればいい」
 「女をみんな美人にすることがどうして悪い」
2003/02 New Scientist Stupidity should be cured, says DNA discoverer

あいかわらずですか、ジム・ワトソン先生
 この二重らせん男は、飽きず懲りずに乱暴な意見やら、政治的にまずい論評やら、下品なゴシップだの、次から次へと提供してくれる。
2003/02 Independent  James Watson, Nobel Prize winner: Welcome to the Watson Wonderland


〓〓〓 EP 〓〓〓
 彼はなぜ人類の改良にこだわるのか。

ジム「二重らせん」ワトソンは、自閉症のご子息をお持ちです。
遺伝子ノーベル賞の知見とプライドから、「遺伝子さえ改変できれば」こんな子は生まれないのだと結論なさる。


 わが子を愛していないというわけではない。
 「愛する我が子をより良くするために、これら遺伝子の知識を活用せずにおくのはよくないことだ」とお考えなのであって。
”二重らせん”ワトソン インタビュー 息子のRufusは自閉症の一種
2003/04 The Observer The stuff of life

「おのれの子供をより良くしたい、健康な子供を持ちたいと思わない親はいるか?」
 障害者の親でもある”正直ジム”ワトソン、インタビュー
「ロザリンド・フランクリンはどちらにしろ賞は逃しただろう」
 マット・リドレーマット・リドレーによるクリックインタビュー
2003/02 Telegraph  DNA pioneers: the rivalry, the discovery, the future


〓〓〓 EP 〓〓〓
2003年【二重らせん50周年】


 2003年は「二重らせん」発見から50年の記念すべき年だった。
 その関係で、ワトソン氏へのインタビューや講演依頼が多く発生した。
二重らせん50周年
2003/02 BBC News 'Secret of life' discovery turns 50
二重らせん50周年  DNA予言が幅をきかせつつある現在
 効かないかもしれない薬を選ぶか、それとも確実に効く薬と引き替えにあなたの全遺伝子情報を暴いてしまうことを選ぶか
2003/02 The Observer Our debt to the double helix
二重らせん50周年 メッセンジャーRNAで食い違うワトソンとクリック
 〜 ニコラス・ウェイド
2003/02 New York Times Watson and Crick, Both Aligned and Apart, Reinvented Biology

二重らせん50周年
 目指すは「完ぺきな人間」
 ゲノム時代 社会的影響 ポストヒトゲノム 倫理問題最前線
 1974年遺伝子改変のアシロマ会議とジェームズ・ワトソンたち
2003/02 New York Times DNA, the Keeper of Life's Secrets, Starts to Talk

ワトソン&クリック インタビュー 心理と信仰、科学と神
2003/03 Telegraph Do our genes reveal the hand of God?


 特集記事や講演会が催される中、やはりワトソン氏は火種を提供なさる。

科学者は外部と交流しろ  なぜ「良い子」を欲しがってはいけないんだ もっと啓蒙を
 紛糾を避けていては倫理論争で科学側が負けてしまうぞ 〜ジム・ワトソン
2003/04 BBC News DNA hero: 'Get out and mingle'
 Scientists risk losing ground in the moral arguments over the future of genetic technology because they are worried about arousing controversy, DNA pioneer James Watson has said.
2003/04 朝日新聞 DNA構造解明から50年、発見者まじえ講演会 英国

遺伝子改造で、よりよい人類を 「神なんかいない」
 まず人々の旧弊な考えを改良せよ 〜ワトソン
2003/04 New Scientist Genetically enhanced humans to come, say DNA pioneers
遺伝子操作でより良い人類を@ワトソン
2003/05 alternet.org James Watson Wants to Build a Better Human

「遺伝子治療で知能改善」だなどとんでもない
 オーストラリアの学者達、ワトソンの言を一蹴
2003/03 NEWS.com.au Stupidity theory a dumb joke

 この2003年「50周年祭」以降、さすがに周囲もメディアにも「このオッサンはまずい」と了解が行き渡ったのか、しばらくワトソン氏の露出はなかった。

 で、今年(2007年)5月。
 ワトソンの言動ではなく、彼自身の遺伝子が、メディアをにぎわせることになる。
2007/05 朝日新聞
 ワトソン博士(79)、自分のゲノム公開 DNA構造発見者
 息子2人のうち1人が精神疾患
 「人々がより健康になれる」と遺伝子研究を進める意義を強調
この世で最初のDNA一人ぶん丸ごと解析結
 ジェームズ・ワトソンのゲノム、解析費用は100万ドルもかからなかったよ
2007/06 Discovery First Personal Genome Map Created
2007/05 毎日新聞 遺伝情報:個人では世界初、ワトソン博士のゲノム公開 知性推定に一役?
2007/05 読売新聞 DNA構造発見・ノーベル賞博士の遺伝子情報すべて公開
2007/07 Jabion ジェームス・ワトソン博士のゲノムDNA塩基配列
2007/05 news@nature.com James Watson's genome sequenced
2007/05 EurekAlert Nobel laureate James Watson receives personal genome in ceremony at Baylor College of Medicine
2007/05 EurekAlert 454 Life Sciences and Baylor College of Medicine complete sequencing of DNA pioneer

ジェームズ・ワトソンの遺伝子?
 個人の遺伝子解析結果を公表する自由は制限されるべきか
2007/08 John Hawks Anthropology Weblog : Full frontal genomes
 ジェームズ・ワトソン個人の全遺伝子を解析した結果が過日出た
 ワトソンは自閉症児の親であり、かねてより遺伝子改変で人類改良を推進せよと唱えてきたが、息子に遺伝子解析を頼んだことはない
 個人の遺伝子解析結果を公表することは、すなわち彼の親・子の半分の遺伝子を世界に晒すことであり、孫や姪、甥の4分の一を、そして…


 そのときはたいした騒ぎはおきなかったんだが、先月(2007年9月)末にワトソン氏の新刊が出た。

Avoid Boring People: Lessons from a Life in Science


Avoid Boring People: Lessons from a Life in Science
●退屈な人間はほっておけ:科学における生命からのレッスン
 James D. Watson (著) ジェームズ・ワトソン (2007/9/25)
 アマゾンにはカール・ジンマーによるビミョーな書評が載っている。

 で、この新刊プロモーション目的でブッキングされた講演と、その直前の取材で、あんのじょう「この先生はヤバイやん!」とドタキャン騒ぎになってしまったらしい。orz
2007/10 BBC News Museum cancels race row scientist Museum drops race row scientist
博物館は、人種差別科学者をキャンセルする
2007/10 BBC News Lab suspends DNA pioneer Watson
研究室は、DNA先駆者ワトソンをつるす
2007/10 cnn.co.jp 英博物館、DNA構造解明ワトソン博士の講演中止 差別発言で
http://www.cnn.co.jp/science/CNN200710180018.html
2007/10 ワイアードビジョン DNAらせん構造の著名生物学者、「黒人は遺伝子的に劣る」と発言
2007/10 cnn.co.jp ノーベル賞のワトソン博士、黒人差別発言を謝罪
2007/10 cnn.co.jp 所属先の米研究所の職務停止、人種差別的発言の著名博士

ワトソン氏の発言、データは正しいが、解釈がひどい
 こんなの科学じゃない
2007/10 Dienekes' Anthropology Blog: On the James Watson Black IQ controversy

●はてなのまとめブログ
2007/10 ワトソン先生の人種発言 - はてなムラ揉め事マグニチュード


中にはネタブログを真に受けてしまっている日本人もいるらしい
2007/10 【日本語ブログ】ワトソン博士は正直に良いこと言った
http://d.hatena.ne.jp/satohhide/20071021/1192898142

〓〓〓 EP 〓〓〓

< 本稿は主に2007年当時の記述です >

 【脳の衰えで差別観がむき出しになる場合】 


 システム脳系は、高齢になると、ガンコ、ストレート、遠慮なしに・・・要するに「ガンコオヤジ化」ですな。微妙なニュアンスや機微を配慮しきれない、偏見差別丸出しな言動をするようになっていきがちだ、と指摘されています。


 ワトソン氏は寄る年波で、もはや人前には出せない状態になってしまいましたということなんでしょうか。ase2

 【社会的調整能力がなくても解析はできる】 


 ワトソン氏は、元より若い頃からゴーイングマイウェイで突き進みなさるお方だった。
 だからこそ、ロザリンド・フランクリンなどそっちのけで、ぐわしとノーベル賞獲得に至れたのだと見る者もいる。
 解析には、社交能力はいらない。倫理への配慮が薄い人間でも、解析はできる。

 解析能力の高い人間には、効率第一、攻撃好きで思いやり不足などの特徴を持つ者が多め。
 倫理的にややこしい問題がからみ多くの人が危なくて手を出しかねている分野に「新しい技術」が登場した場合、問題の性質に無頓着な人間がずけずけと「新しい技術」で歩を進めてしまうことがままある。行動遺伝学とか地質考古学とか。

 ちなみに、ワトソンと似たようなヤバヤバ動向を抱えた人物として、リチャード・リンやサトシ・カナザワも注目株です。いずれも「遺伝子の解析」がらみで倫理上の論争を巻き起こしている。ラシュトンも思い当たるけれど、情報が少ないのでパス。
 リンはすでに高齢で、けっこうキテます。

●●●●●
 【上記記事を記した2007年よりあとの後日譚】 


●人種論争の中、ジェームズ・ワトソン引退
2007/10 New Scientist James Watson retires amidst race controversy
2007/10 BBC News Race row DNA scientist quits lab
人種問題舌禍の科学者、コールド・スプリング・ハーバー研究所(ニューヨークの民間非営利財団)を辞職

●DNA先駆者ジェームズ・ワトソンは意外と黒かった uhee
●NEWS2007/12 Times DNA pioneer James Watson is blacker than he thought
アフリカ人は白人より頭が悪いと主張なさった二重らせん男のジェームズ・ワトソンは、平均的欧州人より16倍も黒人遺伝子を多くお持ちです。

●生物学の未来について語るクレイグ・ベンター(遺伝子研究と生命合成で有名なツワモノ)
 「ヒトの皮膚の色でゲノムの違いを見ようとする者はかなり粗忽だろう」
2008/07 Carl Zimmer The Loom(カール・ジンマーさんのブログ) Clone Armies And Designer Life
 ワトソンのゲノムに黒人の要素があった件については、ワトソンの祖父母にはそんな様子はなかったわけで、ベンターは「親子つながりに関して遺伝子検査をしたほうがいいんじゃないか」とワトソンに進言したらしい。




以上、その10年後にもまだ「人種差別発言でクビになる」を繰り返しているワトソン先生についての復刻記事でした。
DNAらせん発見の相方クリック先生は生前からけっこうエンガチョなさっていたけど、今も草葉の陰で(ry

 2018年 先生90歳だよ… 


このクビになった名誉職というのは、約10年前の2007年の騒ぎのときに辞職するに至ったコールド・スプリング・ハーバー研究所での名誉職。
2007年の騒ぎで「勤務され続けるのはまずい、年齢もあるし、辞めてもらって名誉職としてなら、なんとか」みたいな妥協に至っていたんだろうけれど、さすがに今の時代でまだこんな言動されるんじゃ「名誉職」であっても縁がつながっているのは業務上マイナスすぎる、という結論になったんでしょう…



→『ミニ特集:遺伝子バイテク時代と差別』
→『ミニ特集:遺伝医療と倫理あれこれ』
→『ミニ特集:遺伝をめぐる科学の本』
→『ミニ特集:遺伝の研究成果を語る本 その1』
→『ミニ特集:遺伝の研究成果を語る本 その2』
→『ミニ特集:遺伝の研究成果を語る本 その3』
→『ミニ特集:遺伝の科学エピジェネティクス本をめぐる本』





【2019/01/15】
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