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科学な本のご紹介:  東芝不正会計事件の研究 不正を正当化する心理と組織

科学に佇む書斎
【2018/01/12】


東芝不正会計事件の研究 
適切性を欠いた理想を夢見るあまりに、力学の実態を見ぬまま縛りばかりをきつくしすぎると、人々の間に法令を守らない不正な忖度が蔓延する。

強すぎる政権が生み出した不正の温床は、東芝が陥った不正地獄と極めて極めて極めてよく似た力学の中にある。

科学の本事件の全般的特徴として,コンプライアンス意識の欠如・過度のプレッシャー・関係者の自発的努力・過剰なセクショナリズム・経営幹部による恣意的な業務管理の5件が挙げられる。
 その背景に存在したのは、過去の経営改善運動(MI運動)により形成された「当期利益至上主義の組織文化」である。東芝では、この組織文化が強すぎたために、「組織文化の過剰性のリスク」が発現して上記の問題を誘発した。

科学の本成果主義に基づく厳しい業績管理を実施していた東芝では、不正な指示であっても上位者に迎合することが下位者にとっての処世術となりさらに不正会計が次第にルーティン化していくことで関係者の心理的負担が軽くなって,不正の規模や範囲がエスカレートしたと認められる。

科学の本コンプライアンス(法令遵守)の中でも最も基本的な要素である「適切な会計処理」を社内で公然と軽視している点は、本事件の重要な特徴である。

科学の本監督機能喪失のリスク:従業員の問題行動を監視すべき立場にある管理者が自らも成果主義の影響を受けることによってその監督機能を実質的に喪失するリスク

科学の本不正会計を認識していた社員の数は、1,000人を優に超えていたと推定される。しかし、それに対して抵抗した者はほとんど見当たらず、下位者が上位者に迎合して、不正会計の指示を従順に遂行していた。

科学の本本事件では下位者が根拠のない過大な売上目標やコスト削減の計画を上位者に報告していたケ一スが散見される。これは、上位者に迎合するあまり、上位者が求めている数字を捏造して「その場しのぎ」をするという処世術が社内に蔓延していたためと推察される。




科学の本【オリンパス事件】首謀者が取締役に対する人事権を実質的に独占し、異を唱える者を排除するなど強権的に取締役会を支配していたため、取締役たちが首謀者に迎合するイエスマンばかりになっていたことを明らかにした。

科学の本 米国ではエンロン事件のように経営者や管理者が自らの利得のために行う不正が顕著であるのに対し、日本ではそうしたタイプの不祥事が少なく、「会社のためにやむを得ない」という自己正当化に基づき不正が行われるケ一スが多い。





『東芝不正会計事件の研究 不正を正当化する心理と組織』
 樋口晴彦
 白桃書房
 


本来あるべき道理・道徳の弱いところに、視野の狭い目先の強い縛りをかませると、簡単に腐敗する。

この調査を行った著者は、これまでにも
「海上自衛隊イージス防衛秘密流出事件」「加卜吉循環取引事件」「赤福食品衛生法等違反事件」「中国電力島根原発点検時期超過事件」「大王製紙会長による特別背任事件」「三井物産DPFデータ改竄事件」「社会保険庁不適正処理事件」「日興コーディアル不正会計事件」「新銀行東京不正融資事件」「オリンパス不正会計事件」「労働者健康福祉機構の虚偽報告事件」「東洋ゴム工業の免震ゴム等性能偽装事件」「ジーエス・ユアサ循環取引事件」「ベネッセ顧客情報漏えい事件の事例研究」「日本交通技術の外国公務員贈賄事件の事例研究」「シンドラ一社製エレベーター死亡事故の事例研究」
などなど錚々たる企業事件の調査をめっちゃ重ねてきている猛者。
その猛者に対して、東芝という企業はまったく内部調査についての協力を行わなかった、その顛末も本書の末尾に記載されている。

この本には、大事なことがいろいろ書かれているんだけど、分厚いハードカバーにガチ論文みたいな研究者用語で書いてくれているのですこぶる読みづらい。
著者はこれまでに
2006年『組織行動の「まずい!!」学』
2007年『「まずい!!」学 組織はこうしてウソをつく』
2009年『不祥事は財産だ プラスに転じる組織行動の基本則』
2015年『悪魔は細部に宿る 危機管理の落とし穴』
など、手軽な新書(いずれも祥伝社新書)も出してらっしゃるので、とっつきはそっちのほうがオススメ。






さらに同じ著者さんの本:
→●本『なぜ、企業は不祥事を繰り返すのか [正] 有名事件13の原因メカニズムに迫る』

成果主義と年功序列制の問題については、高橋伸夫著『虚妄の成果主義 日本型年功制復活のススメ』も合わせ読みすると、脳内咀嚼の味わいがより深まるかと。



 →『ミニ特集:犯罪や不正行為とヒト心理の本』

 →『ミニ特集:犯罪をめぐる心の研究の本 その1』
 →『ミニ特集:犯罪をめぐる心の研究の本 その2』
 



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