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科学な本のご紹介:  民衆史の遺産 第10巻 憑きもの

科学に佇む書斎

民衆史の遺産 第10巻 憑きもの


民衆史の遺産10憑きもの
 年間拝読ベスト入り!
これまでとこれからの日本における「憑きもの」研究について記された冒頭の概論(酒井貴広)がすごい。
世紀の変わり目に混迷していた民俗学の方向性(アイデンティティ)のモヤをぶった切るような潔さが、「もしかして彼らは混迷を脱却したのか」と思わせてくれて頼もしい。

有名どころの「憑きもの」論文献から抽出して編まれた保存版。

科学の本酒井貴広 ”憑きもの筋とは、西日本を中心として近世に出現したとされる比較的新しい憑きものである。
 憑きもの筋の語りは常に強い差別的要素を伴うため、近世の登場以来、随筆や精神医学、歴史学から批判的に分析され、時代が下るにつれてその語りもやや薄まる兆しはあった。”

科学の本酒井貴広 ”戦後の社会不安を背景に憑きもの筋差別が再燃し、重大な社会問題となる。この問題に真っ先に対応したのが柳田國男、石塚尊俊ら民俗学者であり、彼らの活動は学術的関心のみならず、目前で差別に苦しむ人々を手助けしたいという民俗学の「実学」としての自負 -- 近年の表現を借りれば、「高い公共性」 -- に下支えされたものであった。”

科学の本酒井貴広 ”文化人類学の研究成果は、それまで「迷信」と断じられてきた憑きもの筋が、実際に社会で果たす役割 -- 経済格差への説明原理と民俗宗教の複雑な重なり合い -- を明確にした。”

科学の本酒井貴広 ”香川雅信によれば、徳島県K町において、小中学校の児童や大学の学生が登校拒否になったことを、優れた学力を持つ子供への犬神筋の者の嫉妬による攻撃と解釈する語りも見られたという。”

科学の本酒井貴広 ”犬神による差別が以前よりも見えにくくなったことで、人類学者や民俗学者がこの問題に取り組むことは一層難しくなっていると言えるのかもしれない。”

科学の本酒井貴広 ”「憑きもの筋には何らかの根底する原理がある」という演繹的研究手法、あるいは重出立証法のような帰納的研究手法だけでは、今後の憑きもの研究にさらなる進展を重ねることが難しくなる。”




『 民衆史の遺産 第10巻 憑きもの 』
 谷川健一・大和岩雄 編
 大和書房
 


とはいえ、もしかすると、この『民衆史の遺産』シリーズは、日本の民俗学史が最後に見せた輝きとなるのかもしれない。

酒井貴広  現在までの憑きもの研究とその問題点
石塚尊俊  俗信の地域差とその基盤 憑きもの研究梗概
速水保孝  出雲の迷信 一〜五章・九章
吉田禎吾  日本の憑きもの
須田圭三  飛騨の牛茅種
石塚尊俊編 全国憑きもの報告集成
小川哲生  解題


 →『ミニ特集:憑きもの、霊、たたり』
 →『ミニ特集:民衆史の遺産と民俗学』

 →『ミニ特集:生活世界の民俗学』
 →『ミニ特集:社会研究と民俗学』
 →『ミニ特集:民俗学と文化人類学のフュージョン』





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【2016/11/14】
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