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科学な本のご紹介:  ミニ特集:方向音痴 人間関係は空間距離だった

科学に佇む書斎

方向音痴についての参照用メモ置き場:

温故知新

方向矢印4
●初期の知見では
●本『脳の性差 男と女の心を探る』 1999年
「男と比べて女のほうが方向音痴の人が多いとよくいわれる」
「男女で方向認知に対する戦略的なちがいがある可能性」

●中期は
ポップサイエンス本の
アラン・ピーズたちの『話を聞かない男、地図が読めない女』原書1998年
がザツな「性差別」炎上を伴ってさまざまな方面でネタにされ波及

●2009年には、いいかげん応酬も一周りして、諸般バランスと良し悪しを伴う言説に収斂していく(円熟期?)
リンクNHKスペシャル『女と男〜最新科学が読み解く性』第2回 何が違う?なぜ違う?
 ┗ 男女で方向認知に対する戦略的な違いは認められるが、能力的にどちらが上ということもなく、それぞれに有利不利はあり、それなりに同等の能力を発揮しうる



※ その後の最近の論戦については、2013年のネット事故以降、都合により論壇を追える状態ではなくなっているので(沈静化したのか否かについてさえ)把握してない


方向音痴の男女差


●2004年08月
男女の空間把握能力差は内耳サイズの性差が関わっているのか?
 EurekAlert Study explains spatial orientation differences between sexes
 differences between men and women in determining spatial orientation may be the result of inner ear size.

●2005年01月
生まれる前に決まる方向音痴
 地図読みの上手い下手も、車庫入れの上手い下手も、胎内で浴びるテストステロンの量しだい
 BBC News Bad driving 'linked to hormones'
 Map reading and parking may prove difficult for some women because they were exposed to too little testosterone in the womb

●2010年06月
女が方向音痴だというのはガセじゃないか?
 Science Development of the Spatial Representation System in the Rat
オスメス両方の新生ネズミにはちゃんと先天的な方向感覚が備わっている
 そして、これは人間を含むすべての動物で同じ傾向である
 ABC@オーストラリア Females as good as males with directions
方向感覚は先天的なものらしい
 EurekAlert Scientists discover that sense of direction is innate
生まれながらの方向感覚
 EurekAlert An innate sense of direction


食べ物で方向音痴になる?

ちょっと古いこれしか情報がない

●2009年08月
ネズミ実験:
 ギガジン 果物を食べ過ぎると方向音痴に?果糖が空間記憶を弱めることが判明
 フルクトースに富んだ食餌を与えられたラットにおいて空間記憶の損傷がみられる


地図読解の個人差


●2013年12月
 ワイアードビジョン 「地図が読めない人」の脳はどうなっているのか
 地図の読解に関与するふたつの能力は、人によって大差がある


脳の発達と方向音痴


●2008年08月
成熟した脳も、嗅覚や記憶のような機能を持続させる上で、常に新しい神経細胞の供給を必要とする
 京大・影山龍一郎
 ABC@オーストラリア Smell needs constant supply of nerve cells
 読売新聞  脳細胞増えないと「方向音痴」?京大教授ら解明
 産経新聞 新たな神経細胞、記憶を維持 京大チーム発表 空間認識や嗅覚も
 共同通信 新たな神経が記憶を維持 京大チームが米誌に発表
 毎日新聞 神経細胞:新しい神経細胞、空間記憶に役割 京大チーム発表


空間記憶担当の脳部位

「嗅内皮質」というちょっとややこしい名前の箇所が関わっているらしい

●2005年08月
脳:嗅内皮質における空間地図の微細構造
 Nature Microstructure of a spatial map in the entorhinal cortex

●2012年11月
脳: 霊長類内側嗅皮質にある視覚空間地図
 Nature A map of visual space in the primate entorhinal cortex
doi:10.1038/nature11587

●2013年06月
海馬における空間・時間認知の選択性は多感覚により制御されている
 Science Multisensory Control of Hippocampal Spatiotemporal Selectivity

●2014年10月
脳のナビゲーションシステムの発見者 
 Nature Nobel prize for decoding brain’s sense of place
 2014年ノーベル医学生理学賞は、脳の空間認識の研究で、ヨーロッパの3氏に。

●2015年02月
特定の空間的な位置の記憶学習において神経の刻印を特定
 EurekAlert How we know where we are

●2015年02月
 Nature グリッド細胞の配置は環境を反映する
現実は脳内地図で歪められている
 EurekAlert Reality is distorted in brain's maps  
嗅内皮質グリッド細胞の受容野の等積変形が誘発する非対称性
 Nature Shearing-induced asymmetry in entorhinal grid cells
グリッド細胞の対称性は環境の形状によって変えられる
 Nature Grid cell symmetry is shaped by environmental geometry
環境の形によって影響される脳のGPSシステム 
 ナビゲーション誘導を行なうとされる脳の格子細胞が作成するパターンは、環境の形によって変更される
 EurekAlert Brain's GPS system influenced by shape of environment
 EurekAlert Dartmouth study highlights brain cells' role in navigating environment
 Science 頭方位細胞間のネットワークの崩壊によって海馬傍回のグリッド細胞シグナルが障害される


脳の障害で方向音痴


●2002年04月
アルツハイマー病の患者さんが迷子になりやすいわけ
 空間方向認識の脳部位にダメージが
 UniSci More On Why Alzheimer's Patients Get Lost So Easily


遺伝と方向音痴


●2010年02月
方向音痴も遺伝子しだい?
 ウィリアムズ症候群(遺伝子の障害)では空間の位置特定がめっちゃあかんくなってるようだ
 EurekAlert Ability to navigate may be linked to genes, researcher says


人間関係と方向音痴


●2008年04月
空間的上下と社会的地位の認知心理学
 支配欲が強い個体(階層に執着しやすい個体)は画面の「上下位置関係」にも敏感
 EurekAlert On the high horse: Why dominant individuals climb the proverbial ladder

●2014年02月
人々が空間、時間、および社会的距離を理解するのに同じ脳の回路を使用するという最初の証拠
 EurekAlert  Dartmouth study provides first evidence of common brain code for space, time, distance
 人間関係も「距離」なのだ


視覚障害と空間認識


●2012年09月
視覚障害者は、バーチャルゲームで正確な心象地図を作り上げることができる
 EurekAlert Blind people develop accurate mental map by playing 'video' game
室内の配置を再現するテレビゲームで、視覚障害者を支援できる
 コンピュータゲームや関連技術は、視覚障害を持つ人々が新しい建物を訪問する準備を手助けできる。
 LiveScience How Video Game Assists the Visually Impaired





男女差については、基本的にこの図に尽きる。
差別分布図

●地図読みや方向感覚は、性差よりも、個人差のほうが大きい。
●「女は〜が下手」という暗示は、女性の能力を大幅に下げる方向に作用する:差別的認識は、個人の能力に影響を及ぼす

●文化環境や訓練しだいで方向感覚の鋭さは大きく変わる
 例えばミュラー・リヤー錯視がブラジルの狩猟採集民では発現しないとか、
 →●本『もし「右」や「左」がなかったら 言語人類学への招待』
 ┗ 文化によって方向感覚の世界はこんなに違ってくる
 →●本『知覚と認知の考古学 先史時代人のこころ』
 ┗ ヒトの空間概念はどのように発展してきたのか

●空間認識や方向感覚は脳の機能であるわけで、当然、脳の不具合でうまくいかなくなったり、訓練しだいで伸びたりする。

●地図読みにしても、街路把握にしても、車庫入れにしても、長大な人類の歴史から見れば、それこそ「読み書き」と同じくらいに歴史が浅い行動なのであって、うまく脳に乗り切らない部分があってあたりまえではある。

●興味深いのは、【人間関係と方向音痴】の論文。
 距離把握能力は人間関係把握能力とブリコラージュみたいなことになってるのかな。
 特定のターゲットに固執する性向は、絶対的な空間把握に依存しやすいかもしれない。
 複雑な関係性の中でバランスをとる作法に重きをおく場合は、相関的な「目印」依存に偏りやすいかもしれない。


2010年代の書籍で、「空間把握」がらみで見ておくべき書籍をご存じの方いらっしゃればご教示いただけますと助かります。






【2017/07/15】
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