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科学な本のご紹介:  自殺統計問題についてのご報告

科学に佇む書斎
【2017/05/30】

自殺カウント

「政府の方針で、死後24時間以内に発見され遺書があった事例以外は、自殺数としてカウントされないのだ」というウワサを見聞きしたことはありますか。




2017年5月30日作成の画像 ↓
問題の経緯2

以下は事態の進展に伴って内容を総入れ替えしています。
(以前のメモ類や図像は、状況の変化に従い、閉鎖庫に収納)




 起承転結の起:問題の発端 


●雑誌『選択』の小さな囲み記事に記載があった
「政府の方針で、自殺数としてカウントされるのは、死後24時間以内に発見され遺書があった事例だけ」
というくだりを、endBooksがツイートする

●それに対して、Bたんが「それはデマだ」とツイを投げてくる

 え!? デマなの!?




 起承転結の承:問題のややこしさ 


さて、これはデマなのか否か

●ネット上の情報:
 ネット上には「自殺カウントは、発見が死後24時間以内で遺書がある事例だけ」を真とする言説が多く、つまりデマだとは思っていない人が多い。これを論拠に「政府が自殺数を少なく見せかけている」という陰謀論が飛び交っている。
 (発端の雑誌『選択』も、その手の_自殺数サバ読み陰謀論_についての記事だった)

 反面、医療や司法の現場では実際の自殺カウントはどのように行われているのか、たしかな情報が拾えない、もしくはめっちゃ探しづらい。

●雑誌『選択』側の把握:
 この雑誌はさまざまな第一線のジャーナリストが匿名で記事を投稿するコアな情報誌。
 編集部側に、記事を書いた本人に連絡を取って確認していただいたところ、「デマではない(政府に近い立場の人からの情報)」との回答をいただく。

 ただし、政府に近いスジであっても議員からしてネットロアを真に受けている事例も少なくないので、この段階ではデマかどうかは確定できない。

●巷間の状況:
 調査の助け舟を出してくれたいろんなひとたちにありがとう。
 ただ、それ以上に、ツイートの意味を読み取れてない人、的はずれな自己満足ツイを投げてくる人、ちゃんとしたコミュニケーションが取れない人までが錯綜してどうにも対処がしんどくなる。

Twitter は質の悪い存在はフィルターしても質の低い存在はフィルターしない世界








●それで… まずいことに、「それはデマだ」と指摘してきた当のBたんまでもが、まともなコミュニケーションや読解ができないタイプの人で、ほんと… 勘弁してくれよ…






 起承転結の転:あっさり判明 


 お役所の公開作法に慣れている人が探してくれたら、あっさり本命のお宝情報発掘に至る。

 データが探しづらい原因は、ガチな「施策判断用」基準で収集編纂されているデータだから。
 お役所は、ちゃんとまともな情報を一般に公開してくれているのだけれど、ふつうみんなが見慣れているような、ページビュー稼ぎに血道を上げる一般的なサイトが「検索トップ争い」でユーザビリティばりばりなのに慣れた感覚でいると、お役所の公開作法が謎に見えてわけわかんないことになる。

 まさに「発掘」というか、重要な基礎データが zipデータ で置いてあったりしたんで驚いたよほんと。

リンク資料: 警察庁生活安全局地域課「自殺の概要」 〜厚労省の「最近公表の統計資料」内のどこかより
 ┗ 平成15年とちょっと古い数値だけれど、自殺カウント総数34,427人のうち7割が遺書なし

リンク平成27年下巻 死亡  第1表-2 死亡数,性・死因(死因基本分類)別(ICD-10コード V~Y、U)
 ┗ 当方は事務素人でして、csvデータの扱い方がよくわかんないのできれいな形では閲覧できないけれど、1年間の各種死因における死亡者数と死亡した場所の種類についての具体的な数値が詳しく載っている

リンク自殺の統計:地域における自殺の基礎資料(平成28年)
 ┗ ZIPデータでダウンロードできるその巨大データの中身を見よ!!的な…すげー…
 これは、厚労省の「サイト内検索」で「地域 統計」を検索すると出て来る。
 階層は【ホーム > 政策について > 分野別の政策一覧 > 福祉・介護 > 生活保護・福祉一般 > 自殺対策 > 自殺の統計:地域における自殺の基礎資料(平成28年)】
 これは去年の平成28年度分のデータだけれど「暫定値」となっているので、まだのちのち追加なり訂正なりされていく余地がある数値。
 自殺者の「およその年齢」「一人暮らしか否か」「職業」「企図場所」「手段」「企図時間帯」「企図曜日」「動機」「未遂歴の有無」、そしてそれぞれが「自殺日」基準での集計と、「発見日」基準での集計が出されている。自殺日が不明な事例もカウントされているわけで、24時間縛りは適用されていない。


 つまり、「死後24時間以内に発見され遺書があること」縛りは存在しないと考えるほうが安牌。

追記:
1998年時点の佐久間哲著●本『図解検死解剖マニュアル』に、
「自殺者がすべて遺書を書くとは限らない。書き残すのは、3分の1ぐらいともいわれる。また、遺書があったとしても自殺ではなかった事例もあり、遺書の存在が自殺と鑑別する必要十分条件ではない。」
と記載があり、遺書がある自殺例は自殺総数の3割前後という認識は前世紀末当時からすでに共有されている。





 起承転結の結:デマは理由があってデマになる 


●「死後24時間以内に発見され遺書があること」は、デマである局面と、デマではない局面が混在していた

●「自殺カウントにそんな制限がある」については、見た範囲では数値には反映されてはおらず、デマと考えるのが安全。

 ただし、「自殺者数として計上する上で、実際の判断にはどんな縛りが存在するのか」については、理由があって縛りの有無や委細を明らかにすることはできない。ここが重要な点。
 この方面のプロなら「あ!」とピンとくるらしいのだけれど、どのような判別基準であれ、基準を発表した時点で、集計対象に影響が及んで数値が歪んでいってしまう(その基準を意識して集計対象者が行動してしまう)という、絶対に回避しなきゃならない一種の観測問題になっちゃうんだ。
 だもんで、こんな如何ともしがたい陥穽があるがゆえに、基準は如何に、どころか、基準があるのか、ということさえ明示できない。真性の大人の事情の世界。



●一方で、「死後24時間以内に発見され遺書があること」は、デマだとも言い切れない面がある。

 それは「政府の意向」という点がキモ。
 巷間の陰謀論は、
 「政府の方針で、自殺数としてカウントされるのは、死後24時間以内に発見され遺書があった事例だけ」
だという点を、「政府は自殺者数を過小に算出させようとしているのではないか」として問題視している。
 統計の結果においては「実際にはそんな統計結果にはなってない」と見えるのだけれど、それとは関係なく、「政府の意向の有無は如何に」の問題が残存するわけで、これはほんと政府関係者にお尋ねしないとわからない。

 そして、政府に近いスジからは、その意向が存在する、と漏れ伝わっている(これが問題の発端の記事)。





 今回のややこしさのおさらい 


①「死後24時間以内に発見され遺書があること」を真だとしている人々は、真の根拠を掴んでいない、もしくは公示していない ←めっちゃ空気

②「死後24時間以内に発見され遺書があること」を疑だとして指摘してきた人は、正確な根拠の掴み方や適切な情報授受の作法を身につけていない ←めっちゃ危ない
 ┗ 主張する「直感」が正しくても、事実確認の作法がメチャクチャなうえ、正しい情報を間違って解釈する、無根拠な情報提供をしてくる、さらにはきちんとした意思疎通の連絡をするどころか、エアリプ以前の「Twitterのプロフィール欄」で意思表示をしてくるようなありさまでどうしようもない

この①②のコンボでほんと触りたくないカオスに苦しめられた…

「デマだ」と指摘してきた人は、悪意があったわけじゃない。
指摘自体は正しかったし、本人の感覚では至極真面目に調べていて、長年の自己流調査の経験もあって、自負もお持ちでいらっしゃった。

真面目で真摯な人でも、ツッコミがなされない環境が積み重なると…つまり、…ネットのアフォーダンスが悪いと、こんなことになってしまう。(TwitterやGoogleが悪い)


②は一個人さんのことだからまあ、仕方ないとしても、複数人が(いやけっこう多くの人が)関与している①については
・外野は、単なる調査放棄の怠慢=ポストトゥルース
・役所は、観測問題があるため、判別基準を公にできない
この2つが絡み合ってやたら根が深くなっている状態

以上です。

無理して時間割いて素人の調査にスマホ駆使して協力してくれた**先生に感謝。
大感謝。

この問題に関するendBooksの関与はこれで打ち止めにしたい疲れた

あとで雑誌『選択』の側にも再度連絡を入れる予定…







→自殺統計問題についてのご報告 当該ページ
→『自殺統計問題-資料メモその1』 非公開化
→『自殺統計問題-資料メモその2』 非公開化
→『自殺統計問題-資料メモその3』 非公開化




 →『ミニ特集:自殺という自己否定現象 その1』
 →『ミニ特集:自殺という自己否定現象 その2』
 →『ミニ特集:切腹』
 →『ミニ特集:うつを生きる』
 



このページ 『自殺統計問題についてのご報告』 は以上です。
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