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科学な本のご紹介:  生きて帰ってきた男 ある日本兵の戦争と戦後

科学に佇む書斎
【2015/07/05】



生きて帰ってきた男『生きて帰ってきた男 ある日本兵の戦争と戦後』

これは読んで欲しいぞ。年間拝読ベスト本入り。
第14回小林秀雄賞受賞作。
実に貴重な、戦前戦後を生きたリアル人間の、それぞれの時代を見た目、体験した思いが記される。

科学の本一九四三(昭和一八)年、謙二が富士通信機に就職した翌月、日本軍はガダルカナル島から撤退した。
 この撤退は「転進」と公表されたが、七歳の謙二でさえ、「おかしな言葉」だと感じたという。
 ラジオでは評論家が、「転進というのはいい言葉です。受験に落ちても、他の学校に転進しましょう」などと話していた。

科学の本割烹着をつけた国防婦人会が「日の丸」を打ち振る、といった見送りはもうなかった。
 日中戦争のころはやっていたが、太平洋戦争が始まるとなくなった。食うものを手に入れるのに時間と労力がかかって余裕がなくなったし、召集があまりに多くなったからだ。

科学の本ソ連軍の捕虜になったドイツ軍将兵約300万のうち、死亡者は約100万といわれ、死亡率は約3割である。
 シベリア抑留の日本軍捕虜の死亡は抑留者約64万のうち約6万といわれ、死亡率は約1割。日本軍の捕虜になった英米軍捕虜の死亡率は約27%である。

科学の本学術的にいえば、本書はオーラルヒストリーであり、民衆史・社会史である。社会的にいえば、「戦争の記憶」を扱った本であると同時に、社会構造変化への関心に応えようとしたものである。

科学の本記憶というものは、語り手と聞き手の相互作用で作られる。聞き手に聞く力がなければ、語り手から記憶を引きだすことはできない。









『生きて帰ってきた男 ある日本兵の戦争と戦後』
 小熊英二
 岩波新書
 


ここで特に心に留めておきたいのは、「普通の人は歴史に記録を残さない」ということだ。
自分を語りたがり、自分史を残したがる人は、Twitter民に象徴されるように、自己顕示欲が強く、何かに偏った信念を表明してはばからない、どっちかというと「フツーではない」人々が大半を占める。

本書では、本来であれば語らぬまま世を去っていたであろう、戦争体験者(シベリア抑留体験者)の、幼い頃から戦後を経て今に至るまでが、聞き書きを経た記録でしたためられている。
(endBooksの親族は、語らぬまま世を去っている)
シベリア抑留については紙数は多くはなく、その体験を人生の一幕として、前後に長い生きざまがある。
(シベリア抑留だけについて読みたいのであれば、もっと悲惨な描写の類書は数多い)

聞き取りを行った著者は、歴史社会学系の社会学者。適宜、時代状況についての補足がなされていて読みやすい。
1920年代から、現代までの、一人の人生。
脚色のないリアルな朝ドラ、と言ってもいいかもしれない。


→『年刊拝読ベスト本』 に入っている一冊です。




 →『ミニ特集:戦争と文化』
 →『ミニ特集:戦争と文化 2』
 →『ミニ特集:戦争を調べる』
 →『ミニ特集:戦争を調べる 2』
 →『ミニ特集:戦争を調べる 3』
 →『ミニ特集:太平洋戦争について語る本』
 →『ミニ特集:武器、軍備』
 



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