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科学な本のご紹介:  軍隊の文化人類学

科学に佇む書斎
【2015/06/05】



軍隊の文化人類学『軍隊の文化人類学』

冒頭の章からしてスゴイ。
女性自衛官を目指す者が体験する逆境感の強さ、推して知るべし。
(冒頭の章の筆者は→●本『不安な兵士たち ニッポン自衛隊研究』 のフリューシュトゥック)

科学の本サビーネ・フリューシュトゥック ”【自衛隊ポスター】制服に身を包んだ女性の身体は、二重の仕方でその官能的な可能性が喚起されている。それは、自衛隊員ではない女性に制服を着せ、自衛隊員である女性から制服を脱がすやり方である。”

科学の本サビーネ・フリューシュトゥック ”自衛隊内部において女性自衛官があまり成熟した大人として扱われていないという状況は、海上自衛隊のために製作されたビデオクリップを含む新隊員募集や広報活動の材料において、さらに悪化している。”

科学の本サビーネ・フリューシュトゥック ”「萌え」という用語は、二次元のキャラクターに対する愛着のこもったあこがれ、より正確にいうと感情に基づく互恵的な応答の望みがない何かに対する、内面化された情動的な反応を指している。”

科学の本エヤル・ベン=アリ ”女性は自衛隊の中では最小限の役割しか果たしていないものの、女性が人目に立つ場所(広報媒体)に存在するということが、帝国陸海軍のきわめて男性化された型と自衛隊との相違を示すものとなっている。”





科学の本アーロン・スキャブランド ”北部方面隊が期待していたのは、屯田兵たちがかつてそうであったように、道外出身の隊員が地元の女性と結婚し北海道に永住することであった。部隊ではこのような過程を「土着化」と呼んできた。”

科学の本河野仁 ”遠軽町全人口の約一割が自衛隊員とその家族であり、隊員たちの給与の総額60億円は町全体の予算の二分の一近くとなる。その経済効果を考えると「連隊なしで遠軽はやっていけない」(佐々木町長)ほどである。”

科学の本クリストファー・エイムズ ”歴史学者のハルコ・タヤ・クックとセオドア・F・クックは、日本人のインフォーマントが、戦時中の体験をある決まったパターンで思い返すことを見出した。
 クックらによれば、「インタビュー対象者にもっともよくみられた感情は、戦争は、いかなる意味でも、自分たちによって『なされた』のではなく、自然の大変動のように自分たちに『起こった」という感覚である」。”





『軍隊の文化人類学』
 田中雅一 編
 風響社
 


複数著者が報告を寄せていて、その中のかなりの割合が、非日本人による日本についての調査。
異国の視点からの記述なので、ついつい襟を正して読んでしまう。
自衛隊がらみの報告が多いけれど、世界各国の軍・文化・社会についても、網羅的なものではないけれど記載あり。

あと、自衛隊入隊の動機として、男女問わず貧しさを挙げている、とさらっと記されていて、米軍でも入隊動機は「貧困と名誉」だし、…どこでも「貧困」ファクターは強く作用するのかと。
(軍人・兵隊アリを増やすために格差は広げられている、という陰謀系な論はかねてより巷間に)

なぜこの進路を選んだのか、なぜこのような広報がなされるのか。【合理的選択とは】について、いろいろと考えさせられる。
高価な本なので、気軽には入手しづらい一品だけれど、図書館で見かけることがあればチェキお勧め。


おまけ↓


 →『ミニ特集:戦争と文化』
 →『ミニ特集:戦争と文化 2』
 →『ミニ特集:戦争を調べる』
 →『ミニ特集:戦争を調べる 2』
 →『ミニ特集:戦争を調べる 3』
 →『ミニ特集:太平洋戦争について語る本』
 →『ミニ特集:太平洋戦争について語る本 2』
 →『ミニ特集:武器、軍備』

 



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