つくられる偽りの記憶 あなたの思い出は本物か?


しかし、これほどまでに、我々の、オノレの記憶がいい加減なものなのであるならば、認知行動療法などのカウンセリング(記憶と意味の改変)がもっともっと隆盛になってくれれば、過去の幻に苦しむ人も減っていくかもしれない。
個人仕様のビッグブラザーに、ソイレントグリーンの最期の贈り物に、救われていく個人。
目撃証言の研究において、目撃者の「自信度」 -- これは心理学の世界では「確信度」といわれることが多いです -- と正確性には、相関があまりないということが明らかになっています。
つまり、目撃者が「自信がある」といっても、それが記憶の正しさを必ずしも保証するわけではないということです。これを「確信度-正確性無相関現象」といいます。写真のような視覚的なイメージを見せた場合には、フォールスメモリー(事実とは異なる記憶)の形成は相当に容易になります。場合によっては半数もの人が、間違った思い出の生成に陥ります。
一度「思い出して」しまったフォールスメモリー(事実ではない記憶)は、本人には真実のように感じられてしまうのです。なかには、その記憶は確かなものだと最後まで言い張る人さえいました。
”偽りの自白のいくつかのケースでは、容疑者が初めは自分の無罪を信じていても、警察で暗示的な尋問を受けるうちに、実際にはやっていない犯罪の詳細な記憶を発展させていった。” https://t.co/o8vEDXsurj 『なぜ、「あれ」が思い出せなくなるのか』ダニエル・シャクター
— 科学に佇む一行読書心 (@endBooks) 2015, 10月 26
”アイラ・ハイマンの調査では、日常生活のなかで物忘れや不注意による記憶ミスが多い人は、幼少期の誤った記憶を作り出しやすいことが明らかになった。” http://t.co/jomM8PodbM 『なぜ、「あれ」が思い出せなくなるのか』ダニエル・シャクター
— 科学に佇む一行読書心 (@endBooks) 2014, 5月 28
スペースシャトルの事故を目撃した人への追跡調査でも偽の記憶(後からメディア等でみたやつとか)が形成されてたってレポートがあったよな。 https://t.co/FxtsKJPG5A
— Ling-mu (@Ling_mu) 2017年7月18日
その瞬間を見ていないにもかかわらず、彼らが亡くなったその瞬間のイメージがトラウマ記憶になっているケースや、自分自身が死にそうな目にあい、その瞬間は意識を失っていたため記憶に残っているわけではないのに、事故の瞬間がフラッシュバックされるようなケースも少なくありません。
記憶を植え付ける方法は開発されていても、一度植え付けてしまった記憶を消す方法は開発されていないのです。
つまり、彼らはその後の人生でこの植え付けられた記憶とともに生きていくことになってしまうのです。
そのため現在では、この種の実験は、倫理的に問題があるとされるようになり、実施することは困難になっています。
越智啓太『つくられる偽りのきおく』化学同人、2014 。筆者は心理学者で、映画マニア。この本のところどころにも、記憶をテーマにした映画を例にしたコラムが収められている。クリストファー・ノーランのインセプションに出てくる記憶の埋め込みは、最新の記憶研究から見ても可能なのだとか。
— 長谷川明子 (@a_hsgw) 2015, 3月 7
『輪廻転生』(講談社現代新書)によると日本人の4割以上が輪廻転生を信じているらしいのですが、『つくられる偽りの記憶』(化学同人)を併せて読んでみて、さてあなたなら「前世の記憶」を信じるでしょうか、信じないでしょうか。 pic.twitter.com/SP0NHSCLa4
— 安村正也/NO NUKES OR DIE (@suicidal_00) 2015, 10月 7

『つくられる偽りの記憶 あなたの思い出は本物か?』
越智啓太
DOJIN選書
化学同人
なお、本書は

という「虚構記憶」研究のスゴ本も参照して編まれています。読み合わせると吉。