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科学な本のご紹介:  時代がつくる「狂気」 精神医療と社会

科学に佇む書斎
【2007/08/19】



悲しみ顔Microsoft『時代がつくる「狂気」 精神医療と社会』

寺田展子さんが記す、新宗教「璽宇」が潰えていく顛末が、今の世に得も言われぬ味わいで…。
大きな社会的影響力を持つようになったがゆえに、戦後、公安の取り締まりを受け、さらにはメディアによって教祖に「精神病」のレッテルを貼られるなどした末に…。

ほか、各章、異なる執筆者がさまざまな論点を紹介してくれる。

科学の本寺田展子 ”「信教の自由」とは「正しい宗教」と判断された宗教においてのみ尊重されるものであり、宗教が社会へ悪影響を及ぼしている場合は、当然にこれを取り締まるというのである。”

科学の本寺田展子 ”国家と宗教とが戦後初めて衝突した本事件において、正しい宗教と邪教、正常と異常を判断する主体は、国家権力から社会の側へと譲り渡された。
 つまり、それらを判断するのは警察ではなく、精神医学とメディア、およびそれらに基づいて形成された「世論」に委ねられることになったのである。”

科学の本佐藤雅浩 ”「五月病」は心理学者の望月衛が1950年代後半から用いていた言葉とされるが、大衆言説上にそれが登場するのは1960年代後半からのことである。”

科学の本佐藤雅浩 ”「心の病」の増加に警鐘を鳴らし、人々の注意を喚起する言説は、少なくとも戦後日本社会において生み出され続けてきた。
 「心の病」という言葉が広まったのはここ数十年のことだが、同様の主張はこれまでの社会でも繰り返されてきたのである。”

科学の本佐藤雅浩 ”団地に住むことがノイローゼを引き起こす -- 。現代の感覚ではピンと来ないが、当時の人々が「団地」という建築物に抱いていた複雑な思いを想像すれば、この「病」の含意するところが見えてくる。
 「団地」の林立する都市近郊の風景は、それまでの日本人が見たことのない人工的な空間として人々の不安を掻き立てるものであった。
 60年代の「団地ノイローゼ」は、敗戦復興の時代から抜け出した日本人が、文化的な生活を手に入れる期待と焦燥に取り憑かれていた時代を象徴する戦後の「時代病」であった。”

科学の本佐藤雅浩 ”従来ならば、ただ「元気のある子」「落ち着きがない子」と呼ばれていたであろう児童たちが、「ADHD」という精神医学的診断を下され、地域の中で「個別な配慮が必要」な児童として選別されていく。”

科学の本佐藤雅浩 ”ADHD児童のスクリーニングに代表されるような「日常生活の精神医学化」と呼ぶべき現象は、精神障害者の社会復帰やノーマライゼーション理念の導入といった「狂気の解放」施策と、明白な相補関係にあるのである。”





『時代がつくる「狂気」 精神医療と社会』
 芹沢一也 編
 朝日選書
 朝日新聞社
 


目次:
総 論 司法と医療のはざまで 精神医療をめぐるアポリア
第1章 治療の場をめぐる精神医療史 「癒しの場」から「普遍化された場」へ
第2章 精神療法をめぐる歴史 民間療法からの出発とその帰結
第3章 戦争と優生の時代における精神病者
第4章 メディアが担う社会的「狂気」
第5章 「心の病」の精後史 狂気の隔離からメンタルヘルスの啓蒙へ
第6章 「意志的な死」を診断する 自殺をめぐる精神医療の人類学
第7章 精神障害者の社会貢献活動 千葉県市川市でスタートした患者会「プロジェクトR」の活動リポート

この本はぜひ
→『ミニ特集:文化依存症候群を考える本』
と読み合わせていただけると濃厚さ倍増なのです。


 ┗『精神病者私宅監置ノ実況及ビ其統計的観察』→『ミニ特集:座敷牢』

 →『ミニ特集:文化依存症候群を考える本 その1』
 →『ミニ特集:文化依存症候群を考える本 その2』

 →『ミニ特集:日本の昔の病気観 その1』
 →『ミニ特集:日本の昔の病気観 その2』
 →『ミニ特集:医療人類学 その1』
 →『ミニ特集:医療人類学 その2』
 



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