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科学な本のご紹介:  妊娠と出産の人類学 リプロダクションを問い直す

科学に佇む書斎
【2014/06/17】



科学の本『妊娠と出産の人類学 リプロダクションを問い直す』

きっちりとした大枠を据え付けてからの説き明かしで、安心してこの大事なテーマについて、厚い経験に裏打ちされた濃い論考を読むことができる。

ヒトに進化する前から延々ふつうにいとなまれてきたはずの、お産。
どうして今、お産がこんなことになっちゃってるのか、「現代の常識」というとても賞味期限が短い不思議な色眼鏡をはずして、見なおしてみよう。

科学の本お産の介助役について、プロとの違いが問題になるのは異常産のときである。したがって、しろうととプロを区別する社会は、異常産による死亡率を問題にする社会と言えよう。
 しろうととプロの区別をしない社会は、異常産の死亡を許容する社会であり、出産では一定の死亡があることを受け入れる社会ということになろう。
 
科学の本病院出産では往々にして医師や助産師の労働が産婦の労働を見えにくくしてしまい、医師の労働があったからこそ出産が可能になったかのような錯覚を与えることになる。

科学の本「最近健康に産める人が少なくなった」「女性の体が正常に産めなくなってきたのでは」という声を耳にする。
 ヨーロッパの助産師さんたちに聞いてみたところ、「それは女性の体が変化したのではなくて、メディアの影響よ」「女性たちが出産に不安を感じるようになったからよ」という答えが返ってきた。
 いわば、正常には産めないと女性たち自身が思い込み、助産師たちも思い込むようになったために、正常産がむずかしくなっているというのだ。

科学の本「普通分娩より帝王切開をしたい」「分娩中に会陰が裂傷しないかと心配だ」「分娩中に死ぬかもしれない」などと妊婦が訴える出産恐怖は、80年代以降に出てきた。
 出産への恐怖心が大きいほど専門職集団としての産科医の地位は高められることになる。

科学の本医学の進歩がなぜストレートに女性のハッピーな経験につながらないのかと考えると、それは出産が病気ではないからということに突き当たる。
 病気なら直してもらって〔原文ママ〕ありがとうとなるが、出産は女性にとっては生理的な活動なので、自分のペースで産めないとしんどいのだ。





『妊娠と出産の人類学 リプロダクションを問い直す』
 松岡悦子
 世界思想社
 


この本は、2014年に拝読した本のベスト入りです。

松岡悦子さんは、お産の意味や文化についての国際研究の第一人者。
たくさん著作がありますよ。
→『ミニ特集:出産を文化人類学する松岡悦子さん』

 →『ミニ特集:妊娠やお産の文化・社会面についての本』
 →『ミニ特集:不妊治療、生殖技術についての本 温故知新』
 →『ミニ特集:不妊治療、生殖技術についての本 2』

 



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