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科学な本のご紹介:  公共人類学

科学に佇む書斎
【2014/08/10】



科学の本『公共人類学』

市井との乖離が深まり存在感が極薄に陥った日本の文化人類学。
公共性を取り戻すべく、掲げられたのが、この呼称「公共人類学」だ。

科学の本山下晋司 ”人類学者の多くは広く社会に語りかけるよりも,人類学という狭い学会や大学の世界,さらに専門化した研究者コミュニテイの読者に語りかけることで人類学を実践している.その結果,社会の側からは人類学が見えなくなってしまった。
 これはある意味で人類学の専門化と成熟の結果とも言えるが,社会との関わりにおいては明らかな退歩である。”

科学の本鈴木紀 ”私が注目する文化相対主義の定義は,「文化現象を扱う際に,文化に根ざす価値観や判断を一時的に停止すること」[Gross 1992]というものである。
 これは方法論としての文化相対主義の簡潔な表現である.自文化のバイアスを自覚し,性急な判断をしないことを求めている。
 しかしこの定義でもっとも重要なのは「一時的に停止」という部分である。停止は一時的であって永続的ではない。
 つまり,ある程度異文化に関する洞察を試みた後,人類学者は一時停止を解除して,異文化の判断に向き合わざるをえないのだ。”

科学の本陳天璽 ”日本では、自分が日本人(日本国籍)で、家族も同じく日本人(日本国籍)であることを当然のことと考えている人がほとんどである。そのため、国籍について考える機会が皆無に等しい。”

科学の本柘植あづみ ”1949年に優生学的な理由によって人工妊娠中絶が合法化され,1950年には経済的な理由での中絶が認められ.さらに経済的な理由で中絶を認めるための運用基準が緩められた。
 そのためには急増し国に報告された件数は1950年には32万件だったが.1955年には117万件にのぼった。
 日本は人口増加の抑制を、避妊・家族計画の普及以前に中絶で実現した稀な国となった。”

科学の本柘植あづみ ”大阪青い芝の会は、「障害者は、かわいそう、気の毒」「五体満足に生まれてほしい、健康な子供を生みたい」という考えは健常者の発想であり、障碍者差別の具体的な表れであると指摘した。”


※ 実際には、青い芝の会では「健常者」ではなく「健全者」という表現を用いているそうです。
 上掲の該当箇所は孫引きの記述箇所でして、「健常者」と記されています。



科学の本柘植あづみ ”出生前診断を必要とする背景には、障碍者が生きるための社会制度の不備と差別や偏見がある。疾患や障碍のある胎児の選別中絶をする人々が存在し、その行為を受け入れる社会・文化がある。”

科学の本亀井伸孝 ”なぜ多くの人びとは、障害をもたない側に共感してしまうのだろうか。障害をもたない者であると自らを規定している人びとにとって、それは自然であり、やむをえない状況であると言ってよいのか。”







 


『公共人類学』
 山下晋司 編
 東京大学出版会
 


山下晋司   公共人類学の構築 
清水展    応答する人類学 
岡田浩樹   多文化共生 
森茂岳雄  多文化教育 
鈴木紀    開発 
柘植あづみ  生殖医療 
佐野(藤田)眞理子 高齢者 
亀井伸孝   障害 
福島真人   公共の生成と設計 
田原敬一郎 公共政策学
木村周平  災害の公共性
川上郁雄  難民
陳天璽   無国籍
関谷雄一  人間の安全保障


濃いメンバー。
公共人類学… 微妙に、昨今の民俗学が「環境民俗学」や欧米民俗研究など、状況打開を目指して迷走していた経緯がデジャブる。そしてアメリカ人類学の影響も…。





 
 →『ミニ特集:人類学や文化研究の編纂書 その1』
 →『ミニ特集:人類学や文化研究の編纂書 その2』
 →『ミニ特集:人類学や文化研究の編纂書 その3』
 →『ミニ特集:人類学や文化研究の編纂書 その4』


 



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