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科学な本のご紹介:  うつの医療人類学

科学に佇む書斎
【2014/10/14】



科学の本『うつの医療人類学』


国によって、文化によって、ヒトの逆境反応はどのようにあらわれてくるのか。そんな→『文化依存症候群』の系譜で、日本の精神医療とうつ病概念の推移を読み解く話題の書。

この本は、endBooksの人が2014年に拝読した400冊の中の、ベストワンになります。

科学の本いじめ、差別、貧困、戦争といった社会の構造的ゆがみのなかでうつ病がつくり出されるのに、個人のバイオロジーの問題にすればそうした問題が容易に隠蔽されかねないことが指摘された。

科学の本1958年の自殺の流行については、戦時中に教育を受け、終戦時教科書に墨を塗らされた世代が、ある程度世の中が落ち着いた(彼らが20代の)とき、大量に自殺に走ったことが指摘されている。

科学の本文化人類学者オベーセーカラは、北米ではおそらくうつ病とみなされるであろう人々が、スリランカでは苦難に満ちた現世をいわば正しく「認知」する敬虔な仏教徒として尊敬を集めていたことを報告した。

科学の本「感情労働」による疲労を、うつ病概念がすくいあげ、社会的救済への道を開いたことは日本のうつ病言説の特徴であり、日本での流行をつくったもうひとつの要因だと考える。

科学の本日本のうつ病論が画期的であったのは、「精神病=異質な他者」「脆弱性=性格的に弱い人」という暗黙の前提を覆した点にある。





『うつの医療人類学』
 北中淳子
 日本評論社
 


マーガレット・ロック賞やアメリカ文化人類学会の Hsu Book Prize を受賞するなど、先に海外で広く知られた「日本におけるうつ概念の推移」研究が、ようやく日本語の単著として登場。
この本は、ぜひ、ぜひ、
→●本『クレイジー・ライク・アメリカ』 イーサン・ウォッターズ
と読み合わせて欲しい。
北中さんの『うつの医療人類学』は上品マイルドな状況見渡し系。
アメリカ人ジャーナリストの著作『クレイジー・ライク・アメリカ』は問題点あげつらいの尖り系。

もとより→『文化心理学』でもかねがね指摘されているように、日本の思考ではさまざまな要因を勘案したがるし、アメリカの思考では特定の物事に焦点し単純化する傾向がある。
この「国際的に見たうつ病概念」問題については、そういう2つの姿勢から、それぞれの視点で逆照射し立体的に相補的に見たほうが、より事態が把握しやすくなる。

なお、これ医学の本じゃなくて_医療人類学_なのであって、「私のうつはどうやれば治るの」的な期待で読まれても困ります。頼む。






北中淳子さんの稿はこちらでも読めます。
→●本『生き延びること 生命の教養学V』 北中淳子

 →『ミニ特集:文化依存症候群を考える本』
 →『ミニ特集:文化依存症候群を考える本 2』

 →『ミニ特集:医療人類学』
 →『ミニ特集:医療人類学 2』
 →『ミニ特集:医学で歴史を温故知新する本』

 



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