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科学な本のご紹介:  ミニ特集:文化依存症候群を考える本

科学に佇む書斎
【2015/03/04】


うつの医療人類学
どういうシチュエーションのときに逆境感を感じるべきか、逆境感を感じたときにどう行動すると自分は救われそうだと刷り込まれているか、人々の心の中の想定は文化や環境によってさまざまに異なってきます。

いきおい、お国柄や文化圏によって、心の病み方も病むシチュエーションも違ってくる。
違いが顕著なケースは、「文化依存症候群」という名前で研究されていたりします。







『クレイジー・ライク・アメリカ 心の病はいかに輸出されたか』
 イーサン・ウォッターズ  紀伊國屋書店

●グローバル化とアメリカ文化の席巻によって、ほかのさまざまな文化的特色の多様性喪失とともに、ヒトの心の病み方までもが、均質化されてきた!
 北中淳子→●本『うつの医療人類学』 と読み合わせて解毒して欲しい感じの強烈本。

こちらで紹介
→●本『クレイジー・ライク・アメリカ』



『うつの医療人類学』
 北中淳子 日本評論社

●国によって、文化によって、ヒトの逆境反応はどのようにあらわれてくるのか。そんな『文化依存症候群』の系譜で、日本の精神医療とうつ病概念の推移を読み解く話題の書。

こちらで紹介
→●本『うつの医療人類学』



『PTSDの医療人類学』
 アラン・ヤング みすず書房

●精神医療人類学の古典ともなるスゴ本。
 PTSDは、ベトナム戦争の時代要請によって成立した症候概念であり、社会環境が異なれば、その成立は要請されなかった。
 質・量ともに、軽く読める内容ではないけれど、この本に記された調査結果はその後のさまざまな研究に影響を与えている。

科学の本PTSDは時代を超えた障害ではなく、また本質的には単一障害でもない。PTSDは、臨床実践、診断技術、そして診断と研究と治療のもととなる語りとをよってたかって糊と鋏で張り合わせてできたものである。

科学の本精神医学の言説はすべて、対象を定義することから始まる。言説とその対象とは手をたずさえて進化し、相互に影響を与え合う。そのうちに、言説はすべて系譜学を持つようになる。





●日本の「更年期」とアメリカの「閉経」がどう違い、どう生きられ感じられるのか、そこに文化と健康の相互作用を見て取ろう。
 上掲『うつの医療人類学』の北中淳子さんは、この本の著者名を冠した「マーガレット・ロック賞」を受賞なさっています。

こちらで紹介
→●本『更年期 日本女性が語るローカル・バイオロジー』



『記憶を書きかえる 多重人格と心のメカニズム』イアン・ハッキング

● 「多重人格」という病態が発明されると、突如として世の中に多重人格者が多発した。
 人格が2つや3つどころではなく、10も20もある事例が報告されると、同様な超多重な人格症例がやはり多発した。流行が終わると、多重人格者の発生もあっという間に激減した。
 20世紀の中頃に発生した「メディアを介した精神病態の流行」をビビッドに解き明かした快著。

科学の本多重人格は西洋に独特のもの、つまり先進工業世界に特有のものであり、これらの地域に限って、しかもわずか過去数十年の間に限って診断されたものである。





この箇所へのリンク
  これまでに学習した「逆境にあるキャラはこのような行動を取る」という行動モデルに従って、ヒトは逆境に対する反応を示します。その結果、【心の病み方も時代の流行しだい】というありさまになる。

 あなたは「逆境に見舞われたら」自分をラクにするために、どう行動する?

 大昔は神かくしやら憑依やら。60年代は「多重人格」になるのが流行ったし、70年代は拒食症も大流行、加えて 宇宙人にさらわれる (ということにすれば自分の心は救われると感じる)ことも一大ブームに。
 高度成長期に流行った巨人の星タイプの物語「逆境は死ぬほど努力すれば打開できるんだ」を刷り込まれた年配者は、逆境下で「死ぬほど努力すれば苦難が打開できて救われるはず」幻想にすがりつき、いきおい過労で死にやすい。
 リスカや拒食症も、メディアや環境情報を通じて「ああ、自分に開放感・救済感をもたらす方法にはこんな手段があるのだね」とプライミングされたがゆえの行動。
 さらには、新型うつ病は「不慣れな世界で逆境感を感じたらこうする(ゲームやネットでの逆境は、努力も交渉も全く通用しない。自分を救うにはただただ逃避するしかない)」と生育過程で学習してきた行動をまんまとりがちであるその結果。

 学習した範囲の中から、「自分の逆境感を軽減できそう」に感じるルートに我が身を投じる人々。
 一種の文化依存症候群だと言えましょう。


●日本独特の古来の病気観について:
 →『ミニ特集:日本の昔の病気観』
 ┗ 『「腹の虫」の研究 日本の心身観をさぐる』
 『戦国時代のハラノムシ 『針聞書』のゆかいな病魔たち』
 『冷えと肩こり 身体感覚の考古学』

 →『ミニ特集:文化依存症候群を考える本 2』

 →『ミニ特集:医療人類学』
 →『ミニ特集:医療人類学 2』
 →『ミニ特集:医学で歴史を温故知新する本』
 →『ミニ特集:文化心理学の本』

 



このページ 『ミニ特集:文化依存症候群を考える本』 は以上です。
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