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科学な本のご紹介:  うつの医療人類学

科学に佇む書斎
【2015/03/04】



科学の本『うつの医療人類学』


国によって、文化によって、ヒトの逆境反応はどのようにあらわれてくるのか。そんな→『文化依存症候群』の系譜で、日本の精神医療とうつ病概念の推移を読み解く話題の書。

この本は、endBooksの人が2014年に拝読した400冊の中の、ベストワンになります。

科学の本政府が行った疫学調査によると、労働者の過重労働時間が月100時間を超えるとき、精神障害を含む疾病にかかるリスクが有意に高くなるという。

科学の本南米の一部の国では、1990年代に、スラムの住民といった社会的弱者に向けて抗うつ薬のマーケティングが展開されていたという。
 貧しく、差別され、打ちのめされている人々に対して、「それはあなたの脳の問題だから、薬で解決しなさい」と言えば、彼らの苦しみを二重に否定することになる。

科学の本不思議なことに、「気」の伝統的、物理的な意味を保持してきた中国とは対照的に、日本ではいつのまにか気は「こころ」を表す比喩的な現象へと変容してしまった。

科学の本1970年代以降、WHOの国際比較調査を行っている中根允文らも、「諸外国の実状と異なり日本におけるうつ病頻度は女性より男性で高い」ことを指摘している。

科学の本朝日新聞でうつ病対策について論じている産業メンタルヘルスの専門家も、
「「絶対うつ病にならない人を採用したい」と相談してくる企業もあります。ストレス耐性の高い人を見分けるテストもありますが、そういう人は対人関係に極めて鈍感で戦力にならないことが多い」
と語っているのは興味深い。


引き続き、同紙・同欄から。損保Jヘルスケア社長の談
【「絶対鬱病にならない人を採用したい」と相談してくる企業もあります。ストレス耐性の高い人を見分けるテストもありますが、そういう人は対人関係に極めて鈍感で戦力にならないことが多い。】
企業の生々し過ぎる「相談」内容に引き攣り笑い。


— 鬱が無限に治り続けるアカウント・春 (@Kksga)
2010, 7月 27

 


『うつの医療人類学』
 北中淳子
 日本評論社
 


マーガレット・ロック賞やアメリカ文化人類学会の Hsu Book Prize を受賞するなど、先に海外で広く知られた「日本におけるうつ概念の推移」研究が、ようやく日本語の単著として登場。
この本は、ぜひ、ぜひ、
→●本『クレイジー・ライク・アメリカ』 イーサン・ウォッターズ
と読み合わせて欲しい。
北中さんの『うつの医療人類学』は上品マイルドな状況見渡し系。
アメリカ人ジャーナリストの著作『クレイジー・ライク・アメリカ』は問題点あげつらいの尖り系。

もとより→『文化心理学』でもかねがね指摘されているように、日本の思考ではさまざまな要因を勘案したがるし、アメリカの思考では特定の物事に焦点し単純化する傾向がある。
この「国際的に見たうつ病概念」問題については、そういう2つの姿勢から、それぞれの視点で逆照射し立体的に相補的に見たほうが、より事態が把握しやすくなる。

なお、これ医学の本じゃなくて_医療人類学_なのであって、「私のうつはどうやれば治るの」的な期待で読まれても困ります。頼む。




北中淳子さんの稿はこちらでも読めます。
→●本『生き延びること 生命の教養学V』 北中淳子

 →『ミニ特集:文化依存症候群を考える本』
 →『ミニ特集:医療人類学』
 →『ミニ特集:医療人類学 2』
 →『ミニ特集:医学で歴史を温故知新する本』

 



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