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科学な本のご紹介:  〈運ぶヒト〉の人類学

科学に佇む書斎
【2014/09/28】



飛脚 『〈運ぶヒト〉の人類学』

物を持って歩くとき、ヒトはどのような運び方をするのか。そんな基本動作からして地域差・文化差が大きい人類は、とても調べがいのある生物!

現地調査含め、長年人類たちの暮らしぶりを見てきた文化人類学の大先輩が、動作人類学とでも言えそうなお話を手軽な新書にしたためてくれたよ。

科学の本西アフリカ・サバンナ社会では基本裸足だった。北アフリカ系のなめし革のサンダルを履くのは、王やイスラームの道士など特権的地位の人達の足が地面に触れないようにするためで、ものを運ぶためではない。

科学の本日本では、草鞋(わらじ)足半(あしなか)各種の下駄など、日用の履き物には大きさや左右の区別がなかった。歩き方のくせで、下駄の歯の減り方が左右で異なるときには、ときどき左右をとりかえて履く。

科学の本大型の撥(ばち)で叩くように弾く、つまり打楽器に似た音の効果を生む三味線は、琵琶もそうだが、語りものや音曲(おんぎょく)の伴奏、つまり言葉に相槌を入れるのに適している。
 そもそも日本語は、モノローグ、つまり単独の一方的な発話として、ながながと声にするのには適していない。

科学の本焼きものを成形するときに使う轆轤(ろくろ)が、大陸から日本にもたらされたことは歴史上明らかだ。けれども、日本では受けいれてから、回転の向きを逆に、時計まわりにして使うようになった。
 私自身の直接の見聞でも、ユーラシア大陸では、中国北部、北西部、中部、南部から、インド、トルコ、フランス、ノルウェー、スペインで反時計まわり、沖縄でも伝統的には大陸と同じだったようだ。

科学の本これから検討してゆく事例では、熱帯アフリカの女性が、前傾した骨盤のために、体型としても頭上運搬がしやすく、現在でも盛んに行っていることを述べる。

科学の本サバンナの黒人は高温の気候への適応進化の結果、四肢が相対的に長く、とくに遠位の体節、つまり肘(ひじ)から先の上肢、膝から下の下肢が、割合として長い。




 


『〈運ぶヒト〉の人類学』
 川田順造
 岩波新書
 岩波書店
 


「身体技法」にはこんなにさまざまな地域差・文化差が見られる。

人力運搬形式の世界的な地域差については、昔、複数の本で言及を見かけた覚えがあるのだけれど、川田さんの稿だったか他の人だったか、思い出せず。

先史時代までは遡らないけれど、「背負う」感を日本の民俗学で考察した稿としては、安井眞奈美さんの論考とかオススメです。
安井眞奈美→●本日本文化の人類学『狙われた背中 -- 妖怪・怪異語からみた日本人の身体観』
安井眞奈美『怪異と身体の民俗学 異界から出産と子育てを問い直す』

ほかにも川田順造さんの本:
 →『ミニ特集:人類学や文化研究の川田順造』




 →『ミニ特集:人類学と文化研究の単著 その1』
 →『ミニ特集:人類学と文化研究の単著 その2』
 →『ミニ特集:人類学や文化研究の単著 その3』
 →『ミニ特集:人類学や文化研究の単著 その4』


 



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