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科学な本のご紹介:  弾左衛門とその時代 / 貧民の帝都

科学に佇む書斎
【2008/02/17】



科学の本『弾左衛門とその時代』

分をわきまえろ。
空気を読め。
まともな身分ではないと見なせる者は容赦なく死ぬほど排除しろ。

そんな明治維新前的な感覚がまだまだ色濃く染み残っている今の日本の社会から見ると、この本の世界はどう見えるのだろう。

明治の文明開化当時、世の中の制度がめっちゃひっくり返された。
身分から職業から何から大きく奪われまくった結果、東京などの都市部は、食うに困った難民だらけの『貧民の帝都』状態に。
その激動期を、穢多・非人などの頭目である肩書「弾左衛門」を軸に描き出す、手軽な文庫だけれど読み応えがガツンとある一冊。

科学の本明治維新は文化のコペルニクス的な転換をともなった。牛馬の肉食禁止はなくなり、体力のあるおおきな「強兵」を養成するため、逆に肉食は奨励された。

科学の本維新までの処刑(死刑など)は「見こらし」という効果をねらっていたから公開が原則で、しかも派手な様式をともなった。

科学の本部落差別にあっては集住が指標にされた。身体上にちがいが見つけられなかったので、まとまって住んでいる場所が「しるし」になった。

科学の本非人の者は月代(さかやき)を剃るが丁髷(ちょんまげ)は許されず、散切り頭にされた。明治維新で散髪脱刀令が命ぜられたが、皮肉なことに、これは日本人のすべてのヘアスタイルの非人化であった。

科学の本「身分」は身体に明示された見える差別であった。髪型だけでなく、服装も厳しく制限された。家も、屋根をどんな材料で葺くのかにはじまり、天井や床の間や欄間を作るのを許されない身分もあった。

科学の本封建制では、「職業」と「身分」はワンセットで、だからこそ、日々の安定が保障されていた。






 


『弾左衛門とその時代』
 塩見鮮一郎
 河出文庫
 河出書房新社
 


同じ著者で、『貧民の帝都』もおすすめ。
明治維新であまりにザックリ社会制度を変えちゃったもんだから、従来機能していた「貧民救済」の仕組みが壊れちゃってもうたいへんというか悲惨というか。

科学の本明治5年、江戸時代にあった仏教的な「ほどこしの文化」は完全に否定され、あまやかすとだめになるから、こまっていても助けるな、軒下で雨宿りさせてもならない。「働かざる者食うべからず」という今日につづくイデオロギーが、東京府知事の言葉として社会的に認知される。
 〜『貧民の帝都』塩見鮮一郎


穢多、非人の地位・職能・機能・組織や、江戸期と明治期の断絶っぷりなどについて海外から鋭く考察する
→●本『血塗られた慈悲、笞打つ帝国。江戸から明治へ、刑罰はいかに権力を変えたのか?』 ダニエル・ボツマン著
と読み合わせると、さらに深みが増してくる。

 →『ミニ特集:日本の罪と罰についての本』
 →『ミニ特集:日本の罪と罰についての本 2』
 →『ミニ特集:昔の日本の本』

 



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