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科学な本のご紹介:  ミニ特集:ウイルスの科学とエボラ出血熱

科学に佇む書斎
【2014/11/09】

パンデミック新時代
『ホット・ゾーン 「エボラ出血熱」制圧に命を懸けた人々』
『ウイルス感染爆発』
『エボラの正体 死のウイルスの謎を追う』
『ウイルスと地球生命』
『ウイルス・プラネット』
『パンデミック新時代 人類の進化とウイルスの謎に迫る』


この中から選ぶなら、『パンデミック新時代』と『ウイルスと地球生命』がとっつきにオススメ。
エボラについての古い本は、その後、情報刷新があいついでいるので参照するには微妙なところがあったりする。




『ホット・ゾーン 「エボラ出血熱」制圧に命を懸けた人々』
 リチャード・プレストン

●すさまじい。eely
 特A級にこわいこわーい科学本ってこの世に存在するんですね!

科学の本「黒色吐物」には、致死性の高い大量のウイルスが含まれ感染性もすこぶる高い。軍の微生物専門家が見たら、恐怖のあまりすくみあがってしまうような液体だ。

科学の本エボラ・ザイール株は、人間の肉体のあらゆる器官を、どろどろに消化された粘液状のウイルス粒子の巣に変えてしまう。

科学の本舌の表面は深紅に変色してから剥離する。その断片は飲み込まれるか、吐き出されるかする。舌の表面がむけるときは、言語に絶する苦痛に襲われるという。

科学の本感染による症状が緩和してからも、その精液にはマールブルグ・ウイルスが棲みつき、回復後数か月間、感染力を持ちつづけたのである。

科学の本熱帯雨林に生じたホットなウイルスは、地球のどの都市からだろうと二十四時間以内の空の旅には優に耐えられる。
 地球のすべての都市は、網の目のような空路で連結されている。ひとたびウイルスがその網に乗れば、一日のうちに、どの街をも襲うことができる。

科学の本あるいは、こういう見方もできるだろう -- わずか百年の間に起きた人口の爆発的増加は、ウイルスの前に、突然、大量の肉を投げだしたのだ、と。




●上掲『ホット・ゾーン』に描かれるのは、黎明期の1993年までのアフリカ、そしてアメリカ(レストン)での感染発生事件。
 その後の1995年以降は、NHK「エボラ感染爆発」取材班の『ウイルス感染爆発』が描いてくれていて、ちょうど本書の続編状態。合わせ読みオススメ。
    ↓



『ウイルス感染爆発』
 NHK「エボラ感染爆発」取材班 日本放送出版協会

●『ホット・ゾーン』その前とその後を描くNHK取材班の渾身レポート!

科学の本エボラウイルスが人類の前に最初に姿を現したのは1976年のことである。国境を接するスーダンとザイールの二つの国で、相次いで感染爆発が起きた。先に患者が発生したのはスーダンだった。

科学の本人間の体の中に入り込んだエボラウイルスは、骨と骨格筋を除く、すべての細胞に襲いかかる。感染によって破壊された細胞によって血管内に血栓ができ、臓器が壊死し、機能不全を起こす。

科学の本キンシャサのボンデコ病院の女性患者は、ウイルスとの闘いを克服した。結局、入院生活は八か月に及んだ。右目の視力は失われ、右耳には難聴が残っている。
 「個室に隔離されたときは、死ぬことを覚悟しました。私が生き残ることができたのは、神様のおかげです。でも、これからどうやって生きていったらいいのか不安です」





『エボラの正体 死のウイルスの謎を追う』
 デビッド・クアメン 西原智昭解説 日経BP社

●『ホット・ゾーン』に比べると、NHKの『ウイルス感染爆発』は、おどろおどろしさが少ない。
 その原因は、『ホット・ゾーン』が実際以上にハデに症状を誇張して描いていたからだった!
 エボラ研究の専門家さんたちが、「『ホット・ゾーン』のアレはないだろ〜」とぼやく下りが記されているのがこのデビッド・クアメンの『エボラの正体 死のウイルスの謎を追う』。
 『ウイルス感染爆発』よりさらに新しい状況の、2014年のエボラ大流行のさなかに記された、丁寧なレポート。

科学の本「エボラ出血熱」という頻繁に使われる用語自体、エボラウイルス病の誤った呼び方であるとローランは言う。患者の半数以上はまったく出血しないからだ。
 呼吸不全や内臓の機能不全(決して溶解ではない)など、ほかの原因で死に至る。WHOが「エボラ出血熱」の名称を「エボラウイルス病」に改めたのもこれが理由だ。


デビッド・クアメンは前に
→●本『ドードーの歌 美しい世界の島々からの警鐘』
を著したデイヴィッド・クォメンと同じ人です。
『エボラの正体』日本語版を出した人はこれ気がついてないのか、全然言及してないけど。



『ウイルスと地球生命』
 山内一也 岩波科学ライブラリー 岩波書店

● ウイルスといえば「病原体!」と短絡して考えられがちだけれど、蚊の全部が全部ヒトの血を吸いたがるわけじゃないように、ツイッターユーザの全部が全部バカッターではないように、病気を起こさない、生態系にとっても重要なウイルスというものも、この世にはものすごくたくさん存在する。
 そういう広いとらえ方で、ウイルスという存在のありようを科学的に教えてくれる、視野を正して健康にしてくれる一冊。

科学の本20世紀終わりから、海がウイルスの巨大な培養槽であることが明らかになり、海には地球上のウイルスの大部分が生息していて、その数は天文学的なものになることが分かってきた。

科学の本20世紀終わりには海洋に膨大な数のウイルスが見つかり始め、21世紀に入ってからは、海洋のウイルスが地球環境たとえば二酸化炭素の蓄積、雲の形成にかかわっている可能性が明らかにされてきている。

科学の本2000年にはウイルスが人の胎児を守っていることが明らかにされた。病気の原因とみなされてきたウイルスが人間の存続に重要な役割を果たしていることが示されたのである。



その Elysia chlorotica のお姿↓
Elysia chlorotica,Credit: Patrick Krug Cataloging Diversity in the Sacoglossa LifeDesk
credit: EOL Learning and Education Group via FindCC
 

『ウイルス・プラネット』 カール・ジンマー

●カール・ジンマーさんは進化学が得意な、とても人気のある科学ライターさん。
 これまでにも 寄生虫や大腸菌、進化豪華本など好評既刊 が邦訳されています。
 この本は、ウイルスに満ちた地球生物の進化と不思議がみっちり。

科学の本インフルエンザウイルスは、からだに激しい症状を引き起こしますが、その遺伝子の数(合成するタンパク質の種類)は、風邪の原因となるライノウイルスと同じく、わずか10個に過ぎません。

科学の本食塩の結晶一粒の一辺に沿って、皮膚細胞なら10個ほど並べられます。細菌なら100個です。それでも、ウイルスに比べたら細菌は巨大です。その塩の結晶に沿って、ウイルスなら1000個も並べることができるのです。




『パンデミック新時代 人類の進化とウイルスの謎に迫る』
 ネイサン・ウルフ NHK出版

●世界中のパンデミック調査と予防に携わる研究者が記したウイルス科学の本。
 悪い感染ウイルスについてだけでなく、地球環境に必要な存在としてのウイルス生態にもきちんとスポットを当てている。

科学の本人間に感染するすべてのウイルスをあきらかにする研究はまだ始まったばかりだ。
 この10年強の研究によって、人間のあいだで広まり、多くの者に感染しているが、病気の原因にはなっていない未知のウイルスが複数あきらかとなった。そのひとつのTTウイルス(TTV)は、最初の感染者と認められた日本人男性のイニシャル「T・T」から名づけられた。

科学の本一九九三年六月、カルト教団のオウム真理教は東京の東部に位置する亀戸の八階建てのビルから、炭疽菌の液体を噴霧した。それが失敗したのは本当によかった。死んだペットはいたようだが、具合の悪くなった住民は出なかった。

科学の本狂犬病は人から人には自然感染しないが、人から人へ感染した詳しい記録は10件強残っている。そのすべてが、感染していた臓器の移植によるものなのだ。
 その大半は角膜移植によって起きている。

科学の本広まっている微生物をパンデミックと分類するかどうかは、その毒性とは関係ない。パンデミックとは、微生物が広まる能力の指標であり、強毒性とは無関係なのだ。









■ 男性は回復しても、長期間エボラの感染源となりつづける恐れがある

●本「生き残った人の体の中からは、やがてウイルスは完全にいなくなってしまう。ただ精液の中には比較的長くとどまる例があることがわかっていて、回復後40日近くたってもウイルスが検出された例が報告されている。」
 〜上掲書『ウイルス感染爆発』 NHK「エボラ感染爆発」取材班 より

リンク2015/04 BBC News  Ebola survivors 'safe sex warning'
いったんエボラに感染すると、長期間「精巣にウィルスが潜伏する」ため、性交渉でエボラ感染するおそれがある

リンク2015/05 NHKニュース エボラ出血熱から回復の男性と性交渉で感染か
 6か月後に検出されたことから、これまで考えられていたよりも長期間、ウイルスが感染力を維持している可能性

リンク2015/06 Science/AAAS Surviving Ebola survival エボラ・サバイバーの苦難
エボラから回復した後もなお、他の健康上の問題と戦っている患者もいます。
After recovering from Ebola, some patients are struggling with other health problems.





 →『ミニ特集:伝染病の科学、疫学な本 その1』
 →『ミニ特集:伝染病の科学、疫学な本 その2』

 



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本にはもっともっとたくさんの情報がならんでるよ!
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