差別の構造『女性ホームレスとして生きる 貧困と排除の社会学』
日本では、女性のホームレスはめちゃめちゃ少ない。そして女性のホームレスについての研究は、さらにさらに少ない。
なぜこのような男女差が生じているのか。その原因は、たいへん広く、深く、根深い。
どんな偏りを、この社会は「あたりまえ」としてしまっているのか、よく考えてみよう。
女性がホームレスへと排除されるメカニズムについて、住宅市場や福祉政策のなかに見られる望ましい家族観や女性像が大きく影響していることを明らかにした研究などがある。
女性福祉研究を牽引してきた林千代。その問題意識には、児童や高齢者、障害者といった対象者別の「縦割り」になった福祉制度では、性差別的な社会構造から発生する「女性問題」が共通したものとしてとらえられていないという苛立ちがある。
母子世帯に対する援助をすべてあわせても、母子世帯の平均年収は213万円で、一般世帯の564万円のわずか38%。母子世帯の母親の84.5%が働いているにもかかわらず。
ここには、性別役割分業を行う家族でなければ、子どもの養育と労働の両立が難しい社会システムになっていることの問題が端的に表れている。
この一般世帯の平均値って年収 1,000 万以上の層が引き上げてると思う。母子世帯には年収 1,000 万以上の世帯が少ないせいで両者の差がより開いて見えてる。もちろん、母子世帯の平均所得が低いことは問題だろうけど。
https://t.co/j7vefFbmUx
— Morishita, Y. (@pathos95606) 2014, 7月 7
中央値とは,世帯を所得の低い(あるいは高い)順に並べたとき,全体のちょうど真ん中に位置する世帯の所得額のことである。
平均値は外れ値(極端に高いか低い値)に影響されやすいので,中央値と併記されることが多い。」
〜 『格差の社会学入門 学歴と階層から考える』 平沢和司
女性は隠れたホームレスになりやすいといわれているとおり、独立して住居を構えることができずに、親や友人宅に身を寄せていた経験がある人も少なくなかった。
ホームレスの範囲を「定まった住居がない人」と広くとらえると、どのような人が福祉制度内に留めおかれ、どのような人が路上に排除されるのかを決めているのは、福祉制度なのである。
ケン・プラマー ”物語には語られる時機があり、それまで語られなかった物語が語られるようになるのは、それを受け入れるコミュニティが存在するようになったからである。”
彼女たちは、私にとって合理的に理解可能な、今ある研究枠組みに回収される生を生きているわけではない。そのような人間像しか想定できないことの方が、問題にされなければならないのだろう。
そしてそうした人間像しか想定できていなかったからこそ、合理的には理解することが難しいと感じる女性野宿者のような存在のあり方が、これまでの研究から排除されてしまったのではないか。
1.丸山里美『女性ホームレスとして生きる 貧困と排除の社会学』世界思想社、読了。これまでのホームレス研究は男性が中心で、その立場から主体性や排除と抵抗の論理を読み解くものが多かった。野宿者全体のうち女性は3%というが、本書はその3%に初めて光を当てる。見えないものが見えてくる。
— 氏家法雄 (@ujikenorio) 2013, 7月 12
丸山里美(2013)『女性ホームレスとして生きる-貧困と排除の社会学』世界思想社 女性ホームレスが見えにくいのは労働市場や社会保障政策が近代家族をモデルにしているので、あてはまらない女性世帯が形成されにくいから。女性野宿生活者の意思はパートナーや回りとの関係と切り離せない。
— Nobuhiro Okamoto (@okmtnbhr) 2013, 9月 30
「女性ホームレスとして生きる」という本には、コミュ力を発揮して住民から空き缶や廃品を貰って生計立ててるホームレスさんの話があったなあ>RT
— NaGiSa_FuJiKI (@NaGiSa_FJ) 2015, 1月 2
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