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科学な本のご紹介:  「健康」の日本史

科学に佇む書斎
【2001/01/04】



刀置きアイコン『「健康」の日本史』

一昔前のこの世界には、今で言う「健康」なる概念は存在しなかった。
統治と組織が、「健康」というキーワードで人々をいかにとらえようとしたか、人々は「健康」というキーワードにどんな欲望を投影してきたか。ここで温故知新。

科学の本養生術は死ぬべきときが来たら潔く死ぬことを貴ぶ。「義理忠孝」のために死んで徳を貫く江戸時代の武士が、養生術で病を遠ざけて身を保ったのは、死ぬにふさわしい時が来るまで生きているためだった。

科学の本能の研究者の増田正造氏によると、日本の文化は「散るからこそ花は美しい」と考えるのに対し、西欧は花の「美を永遠ならしめようと努力する」文化であるといいます。

科学の本江戸時代の人々は、身体外部の自然世界で大雨や洪水を起こすのと同じ力が、体内も貫いて支配すると考えていた。明治以降の人々は、身体に現れるすべての現象は、身体内部の構造によって独自に支配されると考える。

科学の本日本の医学史研究の第一人者である酒井シヅ氏によれば、「和漢三才図会」が書かれた元禄時代の巻物をみると「男女で内臓が左右逆転」しているといいます。この頃の人たちは「内臓に男女差があるはずだと信じていた」


酒井シヅ→●本『絵で読む江戸の病と養生』

科学の本「健康」という言葉が一般的に使われるようになったのは明治時代です。江戸時代の末期までは、ほとんど使われていない言葉でした。

科学の本江戸時代まで使われた「武術」という語が「武道」と改められたのも、この二つが理想とする人格像が異なるからです。
 個人的名誉と主君に忠節を貫くために戦う術である武術と、組織の名誉のために、個人の尊厳を抑制して集団や組織に献身的に尽くすための武道との間には、道徳的な精神の質に大きな違いがあったのです。

科学の本太平洋戦争中、昭和19年〜20年の日本国民の死亡率は0.4%。世界で最も多くの兵士を犠牲にした日本陸軍の死亡率は18%。しかし「健康優良児」の死亡率はこれをさらに上回るものでした。

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下線箇所については、下記参照。







 原典 ↓
『「健康」の日本史』 p.227

 太平洋戦争中、昭和十九年から二十年にかけて日本の国民の死亡率は○・四%でした。世界でもっとも多くの兵士を犠牲にした日本陸軍の死亡率は一八%で、およそ五人に一人を失いました(『史料太平洋戦争被害調査報告書』)。しかし、「健康優良児」の死亡率はこれをさらに上回るものでした。
 昭和五年から十二年までの間に「特選」以上に選ばれた児童の中で、消息の追跡が可能であった男子は七十人です。そのうち五〇%にあたる三十六名が亡くなっているのです(『健康優良児童追跡調査報告書』)。この時代の「健康」は、彼らの死亡率を一般国民よりも百二十倍以上も高めたことになったのです。

 太平洋戦争は第二次大戦とイコールなのか否か。どっちにしろ、「世界でもっとも多くの兵士を犠牲にした」とか書いてしまっているのは諸般考えるに無理が…





『「健康」の日本史』
 北沢一利
 平凡社新書
 



 →『ミニ特集:医学で歴史を温故知新する本』
 →『ミニ特集:医療人類学』
 →『ミニ特集:医療人類学 2』

 



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