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科学な本のご紹介:  鬼の復権

科学に佇む書斎
【2004/02/26】



鬼Google『鬼の復権』

ヒノモトノクニになるより以前のはるか昔から、日本の古層に根を深くはる「鬼神の文化」。
古今の諸相を厚く積み重ねて語られる、なまなましく脈打つ「鬼」のありようは、たいへん力強い。

さても、ゲームやキャラや二次創作などのスキーマに染まった若輩においては、この「鬼神」の世界はどこまで感得しうるものなのだろうか。

科学の本人間が「隠れる」と、鬼になる。鬼が鎮まると鬼神になる。

科学の本成人に至るまでの鎮魂の儀礼にもかかわらず、夭折した者は生死の円環の上からはずれてしまう。円環する生命の輪からはずされる凶魂、それこそがオニ(いわゆる悪鬼)なのである。

科学の本世阿弥(ぜあみ)は「鬼の文化」から新しい演劇を立ち上げた。しかし、その鬼は人間の対極にある悪鬼を意味する仏教の鬼からではなく、来訪神としての鬼や妄執(もうしゅう)の鬼であり、人間の鬼である。

科学の本中世の能は妄執の霊を主人公とする特異な演劇である。能楽は、その様式の上から少なくとも三つに分かつことができる。その一が翁の能であり、その二が夢幻能であり、その三が現在能である。

科学の本死霊には祖霊(善鬼)や夭折者(悪鬼)が含まれる。悪鬼には行路の途中で事故や病いで死に、この世に思いを残してタタリなす行路神となったものもある。行路神は「道俣の神」「塞の神」ともいわれ、疫病神の側面がある。

科学の本酉の祭りのミシャグジ神は、中部山岳地帯を中心に関東に広がる道祖神と関連する神で、ミシャグジとは道祖神とみてほぼ間違いない。ミシャグジが道祖神にほかならないとしたら、ミシャグジが降り立つ御杖柱の前身は、道祖神柱と考えざるを得ない。

科学の本儺(な)はもともと巫俗であり、鬼神を信じることの厚い南方の少数民族文化を基層にすえていた。やがて東方の殷や中原の周に取り入れられ、後代には唐の宮廷行事「大儺」に至る。

科学の本開口の翁とは、平泉中尊寺に伝わる故実舞に出る翁で、中尊寺の勝景をたたえ、堂塔をほめ、千秋万歳を唱えるもの。祝詞の翁とは、同じく平泉町の毛越寺に旧正月二十日の夜、本尊を後戸(うしろど)で守護する摩多羅神の祭りに行われる延年(えんねん)に出る翁である。

科学の本オニのイメージを生み、増幅させたのは平安貴族である。彼らは都会に住み、生産にはまったくたずさわることのない遊民ともいってよい階級で、物怪の世界に常に時間をさいている。

科学の本正常死者は祖霊であり、鬼神となるが、異常死者は悪鬼となる。追儺(ついな)とは、鬼神が悪鬼を祓(はら)うのである。


正常死者とは、「周囲が納得できる」死に方をした者。老衰とか病とか、天命で命を失ったとみなせるなど、分相応の事態で亡くなった場合。
異常死者というのは、端的に言えば「残された周囲の者の心が荒ぶったままになる死に方をした者」。特に「恨み」や「怖れ」「呪い」がありそうだと生者が思い込む事態で死んだ場合。





 


『鬼の復権』
 萩原秀三郎
 歴史文化ライブラリー
 吉川弘文館
 






 →『ミニ特集:鬼の構造』
 →『ミニ特集:民俗学を読む本』

 



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