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科学な本のご紹介:  日本文化と猿

科学に佇む書斎
【1996/03/10】



猿顔EmojiOne『日本文化と猿』

神と人の位置関係が変化すると、中を取り持つサルの位置もすべり変わる。

野生動物の中でもニホンザルは神性を帯びやすく、狸や狐のように化けたり憑いたりすることは少ない。
かつての日本人たちが、自分たちのありようをサルに投影してさまざまに利用解釈していたように、文化の中のサルを通して、自分たちの過去と今を逆照射してみよう。

科学の本社会をいかにとらえるかについての認識が進むと、「単純な」とか「未開の」といわれていた社会が存在したことはなかったのだということに、人類学者は目覚めずにはいられなかった。

科学の本日本文化の中では猿は特殊な地位を占めるが、それはまさしく日本人がヒトをヒト以外の動物から峻別する際に、猿が絶対に欠くことのできない認識対象となるからである。

科学の本見猿言わ猿聞か猿の三猿は日本文化固有ではなく、アフリカ、エジプト、インド、中国など広く世界中に見られる。さらに、日本文化における三猿のみを取り上げてみても、その意味は時代によって著しく異なる。




科学の本見ザル・聞カザル・言ワザルは、実のところ、何を見ないのか、聞かないのか、言わないのか、わざとはっきりさせていない。もともとは中国の三諦の教え、すなわち三感を同時に、最大限に使うことにより、われわれはより深く事物の実体を把握することができるとする形而上学的立場に対する名称であった。

科学の本文化全般から柔軟性が目に見えて減少しはじめたのは中世後期である。近世に入ると、社会の階層化はいっそう促進され、職業別・性別の身分制度が固定されてしまい、非定住民と女性一般の運命が極度に悪くなっていった。

科学の本猿と同じく馬も、神々を天界から地上のヒトの社会へと運ぶ、仲介役を果たしていたのである。
 そして、野生の仲介役である馬に対して、文化に隣接する仲介役である猿が、馬の無病息災を祈祷する巫女の役回りを受け持っていたのではないだろうか。
 古代の巫女の病気平癒の祈祷には、音楽と踊りがつきものであった。したがって巫女と同様に舞いを舞うことで猿はヒトの文化との近似的地位を表象し、そのことから、野生のままの、もう一方の仲介役である馬を馴らす力をもっているのだとする考え方も成り立つだろう。
 
科学の本狩猟採集生活をしていた縄文期、猿は食用であったらしく、その骨が遺跡から出土する。ところが、農耕が定着した弥生時代の遺跡からは、猿を食用とした痕跡は出てこない。


※ サルの黒焼きを薬用に用いていた江戸時代
●本 『猿 ものと人間の文化史』広瀬鎮

※ サルの黒焼きを食べていた昭和の事例
●本 『ヒトはなぜペットを食べないか』山内昶




『日本文化と猿』
 大貫恵美子
 平凡社選書


 →『ミニ特集:人類学や文化研究の大貫恵美子』

 →『ミニ特集:動物民俗学の本 その1』
 →『ミニ特集:動物民俗学の本 その2』

 →『ミニ特集:ヒトと動物の関係の本 その1』
 →『ミニ特集:ヒトと動物の関係の本 その2』
 →『ミニ特集:ヒトと動物の関係の本 その3』
 →『ミニ特集:ヒトと動物の関係の本 その4』


 



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